自動車組み込みソフトウェア

組み込みソフトウェアが制御する ECU は、横滑り防止装置、ABS（アンチロックブレーキ）、ACC（車追従型クルーズコントロール）、エアバッグ制御、ナビゲーション、自動駐車システムなどの幅広いシステムを提供しています。

その他の種類のソフトウェア開発と異なり、自動車組み込みシステムには一般に以下のような特徴があります。

• 個別の機能を提供する電子制御装置 (ECU) にパッケージ化されており、他の目的に利用できない
• 簡単に更新できず、車体の耐用年数にわたって問題なく機能し続けなければならない部品の制御に使用される
• 非常に複雑で、要件、設計、開発、テストに渡って複数の関係者による連携が必要とされる
• 最高水準の可用性、安全性、信頼性を満たしている必要がある
• ほかの自動車組み込みシステムおよび GPS などのリモートシステムの両方と接続されている必要がある
• リアルタイムの応答が必要であるため、リアルタイムオペレーティングシステム (RTOS) とプログラミング言語が必須である
• 複雑な自動車サプライチェーンの中で共同開発される
• 低消費電力環境で動作する

自動車業界における規制基準やガイドラインは、自動車の安全性、品質、機能性だけでなく、開発プロセスの厳格さも規定しています。自動車業界の規制基準を組み込みでサポートする ALM プラットフォームを導入することで、規制遵守を効率化し、イノベーションに集中できます。特に重要な業界標準は、次の 3 つです。

• ISO 26262: 車載用の電気・電子・プログラム可能な電子システムの機能安全要件についての規格です。自動車の設計者は、系統的な故障とランダムなハードウェア故障を回避、検出、制御、および軽減するための安全措置を講じる必要があります。
• IEC 61508: 電気・電子・プログラム可能な電子を用いた安全関連システムの機能安全についての規格です。企業は安全機能の不具合を評価および文書化し、軽減措置を講じる必要があります。
• A-SPICE (Automotive Software Process Improvement and Capability Determination): 自動車業界におけるソフトウェア開発のベストプラクティスを定めています。開発プロセスの継続的な評価および改善を目的としています。
• AUTOSAR (Automotive Open System Architecture): 自動車業界をリードする企業が設立したグローバルパートナーシップです。自動車業界における再利用、標準化、相互運用性の向上を目的としています。自動車業界では高度な自動運転技術の導入が進んでいます。このような状況で自動車の安全性と性能を保つには、ほかの車両や外部環境要因を検知して適切に対応できることがますます重要となっています。AUTOSAR の新たな標準規格が、より先進的なスマートコネクテッドカーシステムの未来を切り拓きます。