編集注記: この記事の初版が公開されたのは 2020 年です。2024 年 7 月に新たな情報を加筆し、更新しました。
モデルベース定義 (MBD) とは、従来の 2D 生産図面とは異なり、部品、アセンブリ、製品の製造と検査に必要な情報を 3D コンピューター支援設計 (CAD) モデルに記述する方法です(ASME Y14.47: Model Organization Practices では、モデルベース定義 (MBD) を「2D 図面がなくても効果的に使用できる形で製品を定義する、アノテーション付きのモデルとそれに関連するデータ」と定めています)。
自社ではまだ検討していない場合でも、同業他社がモデルベース定義 (MBD) を活用して、競争力を高めている可能性が十分にあります。モデルベース定義 (MBD) は実績のあるプロセスであると同時に、着実に成長しているトレンドであり、製品の品質を高めつつ、市場投入までの期間の短縮とコスト削減を目指す企業を支援しています。
このブログでは、モデルベース定義 (MBD) のメリット、導入プロセス、テクニカルデータパッケージ、モデルベースエンタープライズ (MBE)、Creo によるモデルベース定義 (MBD) への取り組みのサポートについて説明します。
モデルベース定義 (MBD) は製品開発プロセスに多くのメリットをもたらします。実際にパフォーマンスを向上させている企業の事例をいくつか紹介します。
モデルベース定義 (MBD) は、CAD モデルの 3D アノテーションがセマンティックであるため、従来の 2D 図面より効率的です。下流工程のコンピューター支援製造 (CAM) ソフトウェアや 3 次元測定機 (CMM) ソフトウェアで、アノテーションの意味や、アノテーションが適用されるジオメトリ参照を認識できます。これによりデータの変換や転記が不要になるため、次のようなメリットが得られます。
現在でも、多くの企業が図面ベースで作業しています。こうした企業は、3D モデルを開発し、2D の生産図面を作成したうえで、PDF をサプライチェーンと共有しています。
図面をなくし、設計から製造へ直接移行できるようにすることで、設計部門に多大なメリットとコスト削減がもたらされます。その場合、次のような製品と製造情報 (PMI) を 3D モデルに直接取り込むことができます。
モデルベース定義 (MBD) の規格は、ASME Y14.41-2019、ISO 16792:2021、MIL-STD-31000B で定められています。
CAD ユーザーがすでに 2D 図面の作成方法を知っている場合、モデルベース定義 (MBD) への移行は簡単です。多くの組織では、エンジニアや設計者が 1 時間未満でモデルベース定義 (MBD) を開始できます。モデルベース定義 (MBD) のメリットを得るために、組織のあり方を変える必要はありません。1 件の開発プロジェクトでパイロットを開始すると、開発に要する時間、コスト、品質の面ですぐにメリットが得られます。
CAD モデルにおけるモデルベース定義 (MBD) の主な要素は次のとおりです。
組み合わせステートには次の設定が含まれます。
よくある誤解の 1 つに、モデルベース定義 (MBD) は「図面レス」または「ペーパーレス」というものがあります。モデルベース定義 (MBD) とは、図面が唯一の正しい情報源ではなくなることを意味します。状況に応じて、サプライチェーンで必要な場合は図面を作成できます。
モデルベース定義 (MBD) の主な成果物は、PDF ではなく、テクニカルデータパッケージ (TDP) です。テクニカルデータパッケージ (TDP) は複数の電子ファイルで構成され、次のデータを含めることができます。
テクニカルデータパッケージ (TDP) は、設計定義の唯一の正しい情報源となります。
モデルベース定義 (MBD) を導入した企業は、モデルベースエンタープライズ (MBE) に移行できます。モデルベースエンタープライズ (MBE) とは、設計部門だけでなく、製造、社内外のサプライチェーン、品質、サービスなどにもモデルベース定義 (MBD) を取り入れた製品開発企業を指します。モデルベースエンタープライズ (MBE) へ移行することで、コアプロセスを最適化および合理化し、効率性と利益を最大化できます。
すべてのバージョンにおいて、PTC は、Creo のモデルベース定義 (MBD) の機能とワークフローに多大なリソースを投入しています。最近の機能強化は次のとおりです。
モデルベース定義 (MBD) で生成したコンテンツを、製造、サプライチェーン、在庫管理、および企業全体の下流工程で利用することで、製品開発ワークフローを合理化できます。
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