サステナブル・エンジニアリング。なぜ重要なのか、どう役立つのか

執筆者: Carlos Melgarejo
8/11/2022

読み込み時間: 3min

Sustainable Production and Consumption 誌によると、製品開発段階での決定が非常に重要です。製品の環境負荷の 80% は、この段階で決定されます。材料の選択、サプライヤーの選択、製造工程、製品の運用効率、再利用やリサイクルのための設計など、これらはすべて生産開始前に確立され、その多くが決まります。つまり、サステナビリティに取り組む最善の方法は、サステナブル・エンジニアリングから始めることなのです。

メーカーである以上、製品を開発・製造する方法によっては、多くのエネルギーや天然資源を消費し、環境や生態系に悪影響を与える可能性があります。製品を設計・製造する際には、この点を考慮することが重要です。サステナブル・エンジニアリングは、その一助となるものです。

サステナブル・エンジニアリングとは?

サステナブル・エンジニアリングとは、材料とエネルギーの効率化を推進し、環境への影響を最小限に抑えながら、コストを削減し、収益を向上させる製品やプロセスを設計することです。メーカーは、提供する価値を最大化しながら、無駄を最小限に抑えることができます。今日では、消費者や投資家はサステナビリティに大きな関心を寄せており、それに応えるように、メーカーはサステナビリティへの取り組みを製品開発戦略に取り入れているのです。

公認機械技師(技術士 機械部門に相当)である Helen Meese 博士 は、「サステナブルデザインは、もはや単に減少、リサイクル、再利用や再目的化に焦点を当てたものではありません。今日、サステナブルデザインとは、付加価値を高め、社会的な利益をもたらす製品を設計し、環境問題を解決することであり、企業が実行可能なものであることが重要です。エンジニアは、革新的なソリューションを開発するためのマインドセットを持たなければなりません。」と述べています。

なぜエンジニアはサステナブル・エンジニアリングを実践すべきなのか?

Meese 博士の指摘に加えて、エンジニアは常に人々の安全、健康、福祉を念頭に置きながら、同時に効率を高め、材料やエネルギーの使用量を減らす努力をしなければならないのです。製品の環境への影響を最小限に抑えるための決断を下すのはエンジニアであるため、サステナビリティはエンジニアにとって最重要の目標となっています。

メーカーがサステナブル・エンジニアリングに注力すべき理由はいくつかあります。

  • CO2 排出量を削減する
  • エネルギーと材料の消費を最小限に抑え、コスト削減による運用効率の向上を図る
  • リサイクルや再利用を考慮し、上流と下流とを最適化する
  • 企業文化、従業員の関与、顧客満足度を向上させる
  • 競争力を高め、ブランドを強化し、社会的信用を構築する
  • 環境、健康、安全に関する厳しい規制がある市場で競争力を高める

エンジニアが注目すべきサステナブル・エンジニアリングの主要な原則とは?

サステナビリティは集団で取り組むべきものです。しかし、エンジニアは製品を設計する責任があり、製品の材質や含まれる部品(購入品)、製造方法、運用方法、廃棄やリサイクルの方法に影響を与えることができます。エンジニアとして、組織の環境への影響を軽減できる、より持続可能な実践方法を採用できます。

ここでは、環境に配慮した戦略において役立つ、サステナブル・エンジニアリングの原則をいくつか紹介します。

資源を有効活用する

製品を設計する際、エンジニアは再生不可能な資源を製造段階で適切かつ控えめに使用することで、資源の枯渇を防ぎ、廃棄物を最小限に抑える必要があります。

余分な廃棄物をなくす

グリーン・エンジニアリングのための PLM では、デジタルスレッド機能を活用して、サステナビリティの取り組みを支援できます。製品の設計、ビジュアル化、開発、テストを物理的な世界で行うのではなく、デジタル領域で行うことができるため、スクラップや廃棄物を回避できます。

 

材料の代替を検討する

部品を調達する際には、リサイクル材や再利用材など、持続可能な選択肢を提供するサプライヤーを検討することが重要です。

サステナブル・エンジニアリングと PLM

製造にサステナブル・エンジニアリング戦略を採用するには、製品のライフサイクル全体とプロセスを深く理解する必要があります。そこで登場するのが 製品ライフサイクル管理 (PLM) です。全体的かつデータ駆動型の PLM アプローチを導入することで、企業は製品の設計、生産方法、サプライチェーン のオペレーションが環境に与える影響を測定、分析、改善できます。

PLM は、製品に関連するすべてのデータを信頼できる唯一の情報源で管理することを可能にします。メーカーは、製品のライフサイクルを通して、二酸化炭素排出量を可視化し、追跡できるため、エンジニアが部品の調達や製造方法について、より良い選択肢を決定するのに役立ちます。

また、PLM ソフトウェアは、人の健康や環境に有害な材料の使用を指示する規制への準拠もサポートします。

PLM を活用した デジタルスレッド によって推進される持続可能なエンジニアリング手法を通して、環境と健康を保護し、天然資源の枯渇を最小限に抑えながら、革新的で高品質な製品を開発することができるという安心感を得ることができるのです。

 

グリーン・エンジニアリングのためのPLM

デジタルスレッドを活用して、サステナビリティの取り組みをサポートする設計上の意思決定を実現します。 詳細はこちら
Tags: 製品ライフサイクル管理 (PLM) サステナビリティ

執筆者について

Carlos Melgarejo Carlos is a Sr. Content Marketing Specialist for PTC’s PLM technology. He comes from a broadcast journalism background where he developed a love for writing and visual storytelling. He is also passionate about developing creative content and communications, having received a Master’s degree in Marketing. He enjoys the outdoors, the beach, exercising, riding his motorcycle and car restoration.