SaaS 版 Creo、Creo+ がついに登場!

執筆者: 芸林 盾
7/10/2023

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オフィスツールや営業支援ツールなど、SaaS (Software as a Service) 型のアプリケーションが市場にあふれ、皆さんもそれらを日常的に使用して SaaS のメリットを実感されていると思います。SaaS 型のアプリケーションは、特に場所や端末を選ばず柔軟に運用できることで、作業の効率化や遠隔地とのコラボレーション、またアプリケーション管理や端末を含めた所有コストの削減なども大きなメリットです。以前は、セキュリティーに対する懸念をお持ちの方も多かったですが、個々の企業で全てを賄い、常に最先端のセキュリティー対策にアップデートしていくことを考えると、クラウド上にある SaaS 型アプリケーションの方が安全と考える方が多くなってきました。しかも、使用しているアプリケーションでセキュリティーホールなどが見つかった際には、個々のマシンごとにプログラム更新等を行う必要がなく、一瞬でアップデート可能な SaaS 型のメリットは大きいです。

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PTC は、すべてのアプリケーションを SaaS 化する戦略を持っています。PTC 独自の SaaS 型アプリケーションのプラットフォームを Atlas と名付け、さまざまなアプリケーションを SaaS 化しており、PTC の PLM ツールである Windchill の SaaS 版である Windchill+(ウィンチルプラス)もすでにリリースされています。海外ではすでに使われており、NASA などは 3 拠点をつなぐ用途で使用しています。

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2023 年 5 月に満を持してリリースされたのが、Creo の SaaS 版である Creo+(クリオプラス)です。この Creo+ は、現行の Creo と同じ機能を持っています。そして、現行の Creo のデータを上位互換として、変換せずそのまま読み込んで使用できます。Creo+ へ移行しても、使えなくなる機能やデータ損失は全く起こりません。しかも、Creo の全機能にプラスして SaaS ならではの機能が追加されています。1 つはコラボレーション機能、もう 1 つはユーザー/ライセンス管理機能です。


リアルコラボレーション機能

これこそ SaaS ならではの機能です。同じモデルを複数人で同時に編集できる機能で、オーナーがクラウド上でコラボレーションセッションを開始し、コラボレーションを行いたいメンバーと共有すると、共有メンバーは同じモデルを同時に編集できます。その編集内容はすべてコラボレーションセッション上で記録され、1 つの変更がすべての共有メンバーにリアルタイムで更新されます。すべての作業が記録されているため、どの時点にでも戻ることができます。また、色々な案を検討するための機能であるブランチ機能も備えています。このブランチ機能を使うことで、メインの検討から別のアイデアを試すことができ、すべての共有メンバーがそれを任意に確認し、別のブランチと比較できます。さらにこの機能のすごいところは、その変更が良い場合、メインのブランチにマージできるのです。また、この共有されたモデルはクラウド上にあるため、共有メンバーは外にモデルを出すことができません。例えば、サプライヤーとのコラボレーションを考えた時に、データを外に出さずに深くコラボレーションができるのは非常に大きいメリットではないでしょうか。



ユーザー/ライセンス管理

CAD 管理者は、各個人や部署へのライセンス割り当てを考えたあと、個々のマシンにそれを設定する必要がありました。SaaS 版では、クラウド上の PTC ポータルよりグループを作成し、そのグループに対してユーザーを指定するだけで、ライセンスの割り当てを完了できます。今までと比べ、柔軟にそしてスピーディーにライセンス管理を行うことができます。Creo+ のライセンスですが、基本ライセンスとしては、ユーザーライセンスであり、使用する個人に対してのライセンスです。ただし、一部に共有ライセンスやフローティングのように使えるオプションライセンスも用意しており、個々の状況に適したライセンシングが可能になります。個人にライセンスが割り当てられることにより、そのユーザーの使用状況やライセンスの状況などを把握できるようになります。また、将来的にそのユーザーに適したメニューやヘルプの表示など、AI によるサポートも検討しています。
ライセンス管理よりも負担になる、各端末に対する Creo のインストールですが、SaaS 版では自動で行われます。Creo+ は現在、クライアントマシンに Creo をインストールして起動するバージョンですが、クラウド上で起動するストリーミングバージョンは来年リリースの予定です。このインストールですが、ユーザーが属しているグループに必要なものだけのインストールであり、とても早くインストール作業が済みます。


Creo+ は来年より 3 カ月毎の機能アップを予定しており、ユーザーは常に最新の機能を使うことができ、その恩恵を受けることができます。常に最新であるため Creo+ には、Creo 9.0 や 10 のようなバージョンは存在しません。3 カ月毎の新機能ですが、4 週間前から確認できるため、事前に新しい機能を確認しておくこともできます。

多くの Creo ユーザーの方が PTC の PLM ツールである Windchill を使われているかと思います。当面の間は今までの Windchill と互換性を保つ計画をしています。ただ、SaaS の恩恵をさらに受けられるように、Windchill の SaaS 版である Windchill+ との連携を緊密にしていく予定です。また、別の PDM を使用されている場合でも、引き続き使用することが可能ですが、互換性は各ユーザーにて確認する必要があります。

Creo+ はまだリリースされたばかりですので、今後、さまざまな機能が追加される予定です。来年には、ブラウザーがあれば起動する Creo+ のストリーミングが開始される予定です。これにより場所や端末の制限がなくなり、作業の効率化を実現できます。さらにサプライヤーに対して、データを見てもらいコラボレーションすることも容易になるでしょう。それ以外でも 3 カ月毎のアップデート、ユーザーの使用状況をより分かりやすく表示する機能の追加も予定しております。再来年以降も多くの機能が追加される予定です。

Creo+ では、現在の Creo と同じ機能を持ち、完全に上位互換を確保していますので、安心して移行できます。設計の柔軟性の向上や CAD 管理工数の低減、総所有コストの低減を検討されているユーザーは、ぜひ PTC までご相談ください。


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執筆者について

芸林 盾

ビジネスデベロップメント
ディレクター

1998 年 PTC ジャパンに入社。アプリケーションエンジニアからテクニカルマーケティング、また Pro/ENGINEER Wildfire(現 Creo)の開発にも従事。入社以来、現在も CAD 関連で活動し、新製品/新バージョンの紹介や、主に設計に対して新しい提案活動を行っている。