ChatGPT の AI 技術は設計と製品開発に変革をもたらすか?押さえておきたいポイントを紹介。

3/28/2023

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ChatGPT は、人工知能 (AI) と自然言語処理 (NLP) を使用して、対話形式でユーザーからの問いに回答する、高度な言語モデルです。膨大なテキストデータで学習することで、人間が使うような言語を理解し、生成できます。この技術によって人間がコンピューターを扱う方法が大きく変わり、より直感的で効率的に利用できるようになる可能性を秘めています。

ChatGPT はこのように優れた能力を持っているものの、機能には限界があり、いくつかの主な部分でこの限界が明らかになっています。

ChatGPT の限界とは

ChatGPT の限界は、学習したデータの質によって決まります。ChatGPT は膨大な量のテキストデータを使って学習します。しかし、このデータは必ずしも実世界で使われている言語の代表的なサンプルというわけではなく、特定のトピックや属性に偏っている可能性があります。そのため、それ以外のコンテキストを理解する能力に限界が生じます。さらに、データには不正確な情報や矛盾する情報が含まれていることもあり、このような情報によって性能が損なわれる可能性もあります。

また、ChatGPT の限界は言語の複雑性によっても生じます。ChatGPT は幅広い質問やプロンプトに対する回答を生成できますが、使われる言語のニュアンスをすべて理解しているわけではないため、解釈の間違いや不完全な回答を生成する場合があります。また、慣用的な表現や皮肉をそうと理解できずに、不適切な、あるいは見当違いの回答をすることもあります。

膨大な量のデータを迅速かつ正確に処理するという ChatGPT の能力は、リサーチやデータ分析などの分野でその価値を発揮します。ChatGPT は確かに素晴らしい技術ですが、機能面ではいくつかの限界もあります。そのため、この技術の向き、不向きを把握してから特定のユースケースや分野に活用することが重要となってきます。  

ChatGPT が設計に及ぼす影響 

また、設計者の作業支援ツールとして活用できても、設計者が設計や製品開発プロセスで発揮する知識や専門技術、創造性の代わりにはなりません。AI ツールは、工学技術計算への回答や一般的な設計に関する質問に答えることはできますが、ユーザーはこのような回答に対して健全な懐疑心を持ち、事実確認を行うことが重要です。

たとえば、ChatGPT にダクタイル材料の破壊理論で最適なものは何かと尋ねると、フォン・ミーゼスの降伏条件に関する詳細な説明が回答として返ってきます。しかし、特定の条件下でビームの慣性モーメントを計算するように尋ねると、その回答は、X-X 軸周りの慣性モーメントの確立された値と一致しません。

つまり、ChatGPT は、特定のトピックに関する質問への回答や説明によって設計者を支援できますが、その回答はあくまで学習したデータの知識に限定されているため、人間の設計者が培ってきた経験や直感、問題解決能力に取って代わることはできないというわけです。ChatGPT を使ったとしても、業界やエンドユーザーの要件や基準、期待を満たす最終製品を提供するには、設計者が引き続き設計プロセスに携わる必要があるのです。

設計には、特定の質問に回答したり、情報を提供したりするだけでなく、さまざまなスキルや活動が必要です。また、設計者はデータの分析、試作品の開発とテスト、トレードオフの評価、および、技術的、経済的、環境的、社会的配慮などを含む複数の要因に基づく意思決定もできなければなりません。このようなスキルは技術的な知識、批判的思考、創造性をすべて駆使する必要があり、AI ツールでは代用不可能です。

ChatGPT は設計者の作業を支援できる貴重なツールですが、人間の設計者の代わりにはなれません。設計者は今後も新製品の設計や開発において重要な役割を果たします。また、問題解決者やイノベーターとして、独自の価値を維持しながら、AI ツールの力を活用できるような新しいスキルや働き方を開発する必要があります。

Creo は製品開発プロセスで AI をどのように活用しているか

Creo のジェネレーティブデザインは、AI の力を活用し、設計プロセスに変革をもたらします。ChatGPT とは異なるタイプの AI ですが、ジェネレーティブデザインも AI アルゴリズムを用いて、設計オプションを生成、評価します。これにより、設計者は従来の設計方法よりもはるかに短い時間で、より革新的で効率的な製品を開発できます。

ChatGPT は、質問に対して適切な形式で回答することで、コミュニケーションの障壁を軽減または除去します。同じように、ジェネレーティブデザインでは日常的な試行錯誤のテストから設計者を解放することで、設計者がより高度な設計目標に注力できるようになります。

Creo のジェネレーティブデザインの主なメリットのひとつは、多くの設計オプションを一度に素早く検討、評価できる点です。設計における一連の拘束と目的を定義することで、AI アルゴリズムを使用して、特定の基準に応じて最適化された数百から数千もの設計ソリューションの候補を生成できます。さらに、Creo のジェネレーティブデザインではこの中から最適なオプションを特定して評価や比較ができるため、設計者は最も有力なオプションを絞り込んだうえで、繰り返し検討できます。

ジェネレーティブデザインのもうひとつのメリットは、特定の製造プロセスや材料に応じて設計を最適化できる点です。材料特性、製造上の拘束、コストなどを考慮することで、効率的で機能的なだけでなく、実用的でコスト効率の良い設計を実現できます。

そしておそらく最も重要なメリットは、ジェネレーティブデザインによって、従来の設計方法では不可能だった、あるいは非現実的と思われていた新たな設計コンセプトや可能性を追求できるようになった点です。Creo は従来の設計アプローチに生じていた拘束を解消することで、真に革新的で創造的な、可能性の限界を広げるソリューションの設計を支援します。

Creo のジェネレーティブデザインの詳細情報

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Tags: CAD ジェネレーティブデザイン Creo

執筆者について

Katherine Brown-Siebenaler

Katherine Brown-Siebenaler is the Marketing Content Manager for PTC's CAD team. Based in Austin, TX, Katherine is responsible for editing the Creo and Mathcad blogs. She has six years' experience as a content creator for various corporate marketing teams, primarily in SaaS environments. Katherine holds two degrees from the University of Florida, a BS in Journalism and an MA in Mass Communication. She enjoys learning how PTC customers bring software to life in real-world applications every day, leading innovation in their various industries.