課題 企業全体におよぶ、産業 IoT による大規模な変革を成功させた BID Group は、AR の技術を活用してアフターマーケットのサービスの拡大、カスタマーエクスペリエンスの向上、従業員のワークフローを改善するコラボレーションツールの提供により、ビジネスを次のレベルに引き上げたいと考えていました。

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  • 拡張現実 (AR) による遠隔支援
  • 産業用拡張現実 (AR)

迅速なサービス提供

産業用のメンテナンスおよび修理ソリューションの現場では、拡張現実 (AR) の登場により、ほかの技術とも異なる変革がアフターマーケットサービスの分野に起こっています。多くのメーカーが、初回修理完了率の向上、平均修理時間の短縮、ダウンタイムの削減などのビジネス上の重要な成果の達成に向けた顧客支援のために、AR を活用しています。

製材業の専門企業であり木材加工用機械のサプライヤーとして業界をリードしている BID Group は、AR を活用してアフターマーケットサービスの拡大、カスタマーエクスペリエンスの向上、従業員にコラボレーションツールを提供してワークフローを改善した企業の一例です。

問題解決時間を短縮

企業全体におよぶ、産業 IoT による大規模な変革を成功させた BID Group は、カスタマーサービスを強化することでビジネスを次のレベルに引き上げる機会があることを認識しました。以前、BID Group のサービス担当者は顧客の問題に対応する際、電話、テキストメッセージ、メールなどの従来型の手法を使用していました。しかし、このような手法では何度もテキストや写真をやり取りする必要があり、顧客の待ち時間が長くなってしまいます。「電話で話しながら解決方法を説明する、昔ながらのやり方では不十分です。問題を迅速に解決するには、視覚情報に基づいて説明するのが一番ですから」と話すのは、BID Group のサービスマネージャーである Hugo Patenaude 氏です。Patenaude 氏のチームは、従来とは異なる優れた方法を見出す必要があると感じていました。

AR が多大な価値をもたらすことを確信した BID Group は、PTC の Vuforia Chalk を活用してサービスコールのコミュニケーション向上を図ることを決定しました。Vuforia Chalk は、特別な設定不要で使用できる遠隔支援およびコラボレーションツールです。サービス技樹種者は、時間を問わず必要に応じて、リアルタイムで AR を活用し、顧客に正確かつ詳細な作業指示を提供できます。

顧客は Vuforia Chalk アプリケーションをダウンロードするだけで、BID Group のサービス担当者に連絡を取ってリアルタイムで問題を解決できます。リアルタイムで音声とビデオを AR 技術にで組み合わせた Vuforia Chalk は、サービス担当者が顧客の機器の状況を確認し、画面上に直接注釈を書くことができます。この注釈は AR を利用しているため、対象の場所に「貼り付ける」ことができます。そのため、顧客は分かりやすい指示に従って、解決のための手順を最後まで迅速に実行できます。「Vuforia Chalk は使い方も分かりやすいうえに、優れた視覚情報とツールを使ってお客様をサポートし、より簡単に解決方法をお伝えできます」と Patenaude 氏は言います。

導入の効果は明確に表れました。Patenaude 氏が所属するサービス部門は、問題解決時間の短縮とダウンタイムの削減を達成しました。Vuforia Chalk を使用することで、顧客は各自の技術スキルや知識のレベルにかかわらず BID Group の技術者とシームレスに連携し、問題を迅速に解決できるようになりました。Vuforia Chalk がビジネスにもたらす真の価値は、顧客がより大きなメリットを得られることに留まりませんでした。問題を迅速に解決できることで、BID Group はより多くの顧客にサービスを提供し、品質を犠牲にすることなく収益増を促進できたのです。

現場のサービスチームを支援

Vuforia Chalk の使用による主なメリットは、顧客とのコミュニケーションの向上だけではなく、サービスコール中にほかの技術者の支援を得られる強力なツールをサービス技術者に提供できる点にもあります。たとえば、BID Group では現地のフィールドサービス技術者が客先に出向いてメンテナンスや修理を行うことがよくありまそた。Vuforia Chalk を使用することで、現場で作業する技術者は自力で解決できない未知の問題に遭遇した場合、遠隔地にいる専門家と接続してアドバイスを受けることができます。

最近の例を挙げると、カナダに所在する BID Group の研究開発チームが、新型コロナウイルス感染症による規制のため米国の顧客の施設に出張できなかったケースがありました。この事態に対応するために、チームは現地の機械サービス技術者を施設に出向かせ、Vuforia Chalk をインストールした RealWear のヘッドセットを使用させました。現地の技術者はその機器に関する経験をほとんど持っていませんでしたが、遠隔地にいるサービス担当者の指示に従ってハンズフリーのヘッドセットで作業し、問題なくメンテナンスのプロセスを完了できました。この修理作業の完了後、現地の技術者は Vuforia Chalk が使いやすかったとのフィードバックを提供し、「精査を必要とする重要な箇所を特定できましたし、機械に関して必要な知識のすべてに精通している専門家の支援が得られ、非常に助かりました。まるで誰かがすぐ横にいるかのようでした」と説明しました。

Vuforia Chalk により、現場の作業員は作業場所や技術的な経験に関係なく、BID Group の専門家が持つ貴重な専門知識にアクセスできるようになりました。Vuforia Chalk を活用することで専門知識を社内の担当者間で拡大でき、従業員の生産性と効率性を向上できました。また、直感的なユーザーインターフェースと、まるで同じ場所にいるかのような使用感のコラボレーション機能を備えた Vuforia Chalk は、新しく入社した技術者が仕事を学ぶ上でも非常に有効です。リモートワークが急速に広まりつつある今日においては、Vuforia Chalk の活用により出張の必要性が減少し、場合によっては出張をなくしたりすることで、関連コストの削減や顧客と従業員の安全の確保も可能です。

「Vuforia Chalk は使い方も分かりやすいうえに、優れた視覚情報とツールを使ってお客様をサポートし、より簡単に解決方法をお伝えできます」

-Hugo Patenaude 氏
BID Group、サービスマネージャー

 


 

継続的な成長を促進し、将来に向けた基盤を構築

AR への移行は、顧客満足度に対する BID Group の考え方に大きな影響を与えました。BID Group の戦略およびビジネス開発担当エグゼクティブバイスプレジデントである Steven Hofer 氏は、「PTC の AR テクノロジーにより、総合的なアフターマーケットのサービスの機会にアプローチする方法が大きく変わりました」と言います。Hofer 氏は、Vuforia Chalk を BID Group のサービスポートフォリオに追加したことで、顧客からの依頼に対するより迅速かつ的確な対応が可能になり、顧客が設備をより良好な状態で長く使用できるようになったと述べています。

ビジネスの成長に必要な能力とサポートの両方を得られるという信頼感は、数多くの顧客が BID Group と良好な関係を築き、BID ファミリーを形成していることの理由の 1 つに過ぎません。AR によるオペレーションの変革が進展するなか、BID Group は PTC が提供する同様の技術を活用して、従業員の生産性強化と優れたカスタマーエクスペリエンスを提供する新しい方法を模索しています。BID Group は、創業当時から世界トップクラスのカスタマーサービスを軸とした基本的な価値観を掲げてきた企業です。世界トップクラスのビジネスを構築していく中で、その価値観を維持していくために AR は大きく貢献しています。