Cannondale 社は、高性能な自転車、アパレル、付属品の継続的なイノベーション、品質開発、製造で高い評価を受け、世界の業界をリードしている、1971 年創業の企業です。

米国コネチカット州に本社を構える同社の長いイノベーションの歴史の始まりは、世界初の自転車牽引式トレーラーの開発と大型アルミニウム フレームの製造でした。現在 Cannondale 社は Dorel Sports のブランドとして、ライダー第一の精神で絶え間なく改良に努め、限界に挑み続けています。

cannondale

課題

今日の自転車業界は競争が激しく、トップ企業は、最新の材料とテクノロジを駆使して、絶えず変化する顧客のニーズを満たす自転車を生み出しています。こうしたイノベーションが市場に投入されると、それに伴って市場競争はますます激化し、差別化の必要性が高まります。

Cannondale 社の歴史は 40 年を超えるため、顧客が修理のために近くの店に持ち込む自転車は数知れません。このため、店主には、それぞれの自転車がどのように製造されたのか、何年に生産されたのか、どの交換部品が必要なのかといった豊かな業界知識が不可欠になります。こうした課題に加えて、自転車は、製造メーカーが所有する店ではなく、独立した小売店を通じて販売と修理が行われます。つまり、これらの店は特定の製造メーカーに拘束されているわけでも、特定の企業または自転車を推すように奨励されているわけでもありません。

こうした知識のギャップはカスタマー エクスペリエンスの満足度の低下を招きかねないと考えた Cannondale 社は、この空白を埋める革新的な方法の調査を開始しました。Cannondale 社に必要なのは、同社のマーケティング ニーズを支援したり、サービス業務に必要とされる重要な製品設計や技術情報を店主や店員に提供したり、ライダーとの関わり合いを深めたりするためのツールでした。利用できそうなソリューションについて調査した結果、チームが注目したのは、最小限の労力で社内全体に展開できる拡張現実 (AR) でした。Vuforia View は、Microsoft のアプリ ストア、Apple App Store、Google Play ストアから無料でダウンロードすることができます。

アプローチ

Studio を使用する男性

Cannondale 社は、社内にアプリケーション開発やプログラミングの機能はありませんでしたが、AR のメリットを享受したいと考えていました。すでに PTC の CAD ソフトウェアである Creo を使用して非常に評価の高い自転車を設計していた Cannondale 社のチームは、Vuforia Studio を使用すれば、Creo のデータや自動化された詳細な手順を AR でパブリッシュできることを知りました。こうして AR コンテンツの作成という課題を解決すると、Vuforia Studio を試験的に運用して AR 体験を作成するというサイド プロジェクトを難なくスタートさせることができました。第 1 週目のうちにプロジェクト マネージャはこのソフトウェアを習得し、最初のデモを作り上げました。そしてこのことがたちまち社内の注目を浴び、理解を得ることができました。

デモはすぐに CEO のもとに届き、CEO は、AR が再販業者、サービス技術者、そしてライダーにもたらすメリットを瞬時に認識しました。CEO による支持が後押しとなり、同社は短期間のうちにこのテクノロジの実装範囲を社内全体に拡大しました。Vuforia Studio は使い方が容易なため、1 人だけのコンテンツ設計チームで、数カ月のうちに Cannondale 社の最初の AR 体験を立ち上げ、新製品発売向けの追加の体験をものの数日間で構築することができました。

この AR アプリケーションは Cannondale 社製の自転車を購入済みのライダーも利用できるため、これらのライダーはこの市場に特化した次世代ツールを体験することができます。所有する自転車を修理した経験がある消費者にとっては、このアプリケーションが修理工程の効率化に役立っています。

解決策

Cannondale のタブレット

Cannondale 社製自転車の AR 体験については、独立小売業者および顧客から好意的なフィードバックが寄せられています。

これまでに最も大きな恩恵を受けているユーザーは、独立した自転車店の店主らです。今では、分厚いユーザー マニュアルや部品の発注書を調べることなく、関係するすべての情報にすばやくアクセスできるようになりました。これにより、店の技術者は、サービス作業が必要な可能性がある自転車をすばやくスキャンして、正しい交換部品を難なく見つけられるようになったため、正しい交換部品の特定と発注、自転車の修理、ライダーへの自転車の返却にかかる時間が短縮されました。

Cannondale 社は小売店の店主らの協力を得て、AR 体験が営業プロセスにどのように役立つかを彼らに見てもらいました。潜在顧客が自転車を探しに来店したとします。ブランドやモデルは決まっていません。そんなとき、店員は適当な Cannondale 社製自転車の VuMark をスキャンして、その自転車の概要や特長を客に見せることができます。現在このような購入体験を提供している企業は自転車業界にほかにありません。

この AR アプリケーションは Cannondale 社製の自転車を購入済みのライダーも利用できるため、これらのライダーはこの市場に特化した次世代ツールを体験することができます。所有する自転車を修理した経験がある消費者にとっては、このアプリケーションが修理工程の効率化に役立っています。


次のステップ

Cannondale 社はさらに歩みを進め、AR を活用したさまざまなプラットフォームの紹介に取り組んでいます。このために Cannondale 社ではチームを拡大し、キュレータとして各自転車の AR 体験を構築する専任の担当者を迎え入れる予定です。そして、これらの体験を将来の製品発売にも統合し、ディーラー向けと消費者向けの両方の情報を提供できるようにする計画です。