Oerlikon Solar: スイス、トルーバッハ

世界各国に 20 の拠点を構え、850 人以上の従業員を擁する Oerlikon Solar 社は、Oerlikon 社が保有する 6 つの事業部門のうちの 1つです。従業員数 2 万人の Oerlikon 社は、薄膜コーティングや真空システム、駆動システム、織物生産、高精度テクノロジ製品のための製造システム、部品、およびサービスの分野で世界をリードしています。Oerlikon Solar 社自体は、ソーラー パネル製造ラインの設計、製造、導入、サポートを手がけています。同社が提供する製造ラインは、短期間での導入、高度な自動化、自在な構成を特徴としており、品質基準として、自社固有の製品保証基準と顧客の業界基準の両方を満たすことが求められています。



状況

Oerlikon Solar 社は、ソーラー パネル製造設備に関する故障やインシデントの発生、分析、および解決を体系的に追跡するため、PTC Windchill FRACAS を導入しました。同社が求めていたのは、製品の導入や保守を担当する現場スタッフと分析や解決を担当する社内エンジニアが緊密にコミュニケーションを図れるようにすることと、システムのパフォーマンス指標の追跡およびアカウント マネージャへの通知を自動化することでした。これらを可能にする Windchill FRACAS の機能は、同社が企業理念と製品保証規定で掲げる "高いシステム稼働率" という目標の実現に大きく貢献しています。

FRACAS の利害関係者と目標を特定

ソリューションの種類を問わず、FRACAS の導入時にまず実施する必要があるのは、このシステムに関与させる必要のある主要な利害関係者を特定し、故障やインシデントの発見、報告、評価、分析、是正プロセスにおける各自の役割を定義することです。Oerlikon Solar 社の事例では、次のような結果になりました。

  • 製品の導入や修理、保守を行う現場担当者 : 故障やインシデントを報告する
  • 各種の社内エンジニアリング スタッフ : インシデントの評価、根本原因の分析、長期的な品質改善につながる設計変更の提案を行う
  • オンサイト チームをサポートするその他の担当者 : 迅速な問題解決に必要なスペア部品の発注、確保する
  • カスタマー サービスおよび顧客満足を担当する世界各国のアカウント マネージャ : システム稼働時間を常時監視し、製品保証目標が達成できているかどうかを確認する

この他にも、提案された変更を承認するマネージャ、根本原因分析と設計変更を行うシステム エンジニア、スペア部品の在庫管理担当者など、必要に応じてまざまな関係者が FRACAS に関与します。

PTC Windchill FRACAS ソリューションを導入して目標を達成

上に挙げたような作業プロセスは、PTC Windchill FRACAS の機能を使用することで実現できます。また PTC Windchill FRACAS は高い柔軟性を備えているため、プログラミングの知識がなくても、各ビジネス要件に合わせて自在にソフトウェア ワークフローを構成することが可能です。Oerlikon Solar 社の目標と、その達成に使用されたソフトウェア機能は次のとおりです。

  • 現場担当者が問題を報告する: 製品の導入と保守を行う現場担当者は、任意の Web ブラウザを使用して PTC Windchill FRACAS の Web インタフェースにリモート ログインし、問題を報告できます。
  • 複数のシステム構成を追跡する: PTC Windchill FRACAS では、システムおよびその構成部品とアセンブリをモデル化した後、同じシステムの異なる構成を定義して個別に追跡し、発生した問題を特定のシステム構成に関連付けることができます。

PTC Windchill FRACAS のサブテーブルを使用したワークフローの管理:

この例では、オンサイトの現場担当者がインシデントを発見し、それを評価担当者に伝達します。評価担当者は、評価結果に基づいて "アクションは不要"、"ただちに部品を交換するためにスペア部品ワークフローを開始する"、"長期的な品質向上のために設計変更ワークフローを開始する" のいずれ (または後者 2 つの両方) を行うかを判断します。1 つのインシデントを、内容と複雑さの異なる 2 つのワークフローに同時に関連付けるこの機能は、サブテーブルと問題テーブルによって実現されています。また問題テーブルでは、同じ設計変更によって解決可能な類似するインシデントの関連付けを行うこともできます。

  • 問題の重大度を評価する: FRACAS で報告された問題は、ワークフロー メールによって特定の社内担当者へ自動的に通知されます。社内担当者は問題の重大度を評価して、次のワークフローにエスカレーションするか、または問題が解決した場合は終了処理を行うことができます。
  • スペア部品や修理を迅速に手配する: スペア部品や修理が早急に必要であると判断された場合は、PTC Windchill FRACAS のサブテーブルを使用して問題を別のワークフローに引き継ぎ、部品の見積もりや承認、発注、調達、発送を行うことができます。
  • システム全体の品質を向上させる: 同時に、追加の品質チェックや、将来に向けてシステム全体を改善するために設計変更が必要であると判断された場合は、PTC Windchill FRACAS の問題テーブルを使用して問題をエスカレーションし、関連する別の問題に結び付けることができます。また、問題を別のワークフローに引き継ぎ、複数の担当者の間で反復プロセス (問題の分析、設計変更の提案、変更のレビューと許可、管理者による承認) を実施することもできます。
  • システム指標を計算して稼働時間と非稼働時間を追跡する: PTC Windchill FRACAS の自動計算機能を使用して、さまざまな構成で現場に導入されているシステムの主要な指標 (MTBF や故障率など) を追跡できます。また、各種の原因による稼働時間と非稼働時間の割合など、独自の計算を定義してシステムの稼働時間と非稼働時間を追跡し、保証目標が達成できているかどうかを確認することもできます。
  • システム全体の改善状況を傾向分析する: 社内外から利用可能なグラフとレポートの作成機能を使用して、さまざまな立場の担当者が幅広いシステム指標の傾向を追跡できます。フォルスマルクの画像2これにより、
  • FRACAS の導入後に、システム全体の信頼性がどの程度向上したかなどを把握できます。
  • 主要なシステム指標に遠隔地からアクセスする: アカウント マネージャは、Web ブラウザを使用して PTC Windchill FRACAS のオンライン ダッシュボードにリモート ログインし、主要なシステム指標のグラフやレポートを参照して製品保証目標の達成度を追跡できます。
  • 喫緊の問題と品質向上目標の両方にタイムリーに対応する: PTC Windchill FRACAS の警告通知機能が、ユーザー定義のしきい値 (オープンしているインシデントの数、解決期限が過ぎたインシデント、期限が迫っているインシデント、システムの非稼働時間レベルなど) に基づいてシステムを定期的に監視し、条件が満たされた場合に指定の担当者へ電子メールで通知します。これにより、ワークフローのどの段階であってもタイムリーな対応が可能となります。

FRACAS の導入によってシステムを改善

FRACAS を導入する最大の目的は、対象のシステムを改善することです。PTC Windchill FRACAS は、プロセスの標準化やデータ入力の効率化、データのセキュリティおよび整合性維持を実現する使い勝手に優れた機能によって、システムの改善を支援します。システムを改善するための目標と、その達成に貢献する PTC Windchill FRACAS の機能は次のとおりです。

  • データ入力を効率化する: PTC Windchill FRACAS のデータ入力フォームはカスタマイズに対応しており、ユーザー定義フィールド、多様な選択リスト、自動入力などの機能が用意されています。これにより、入力ミスの削減、データ入力の効率化とスピードアップ、レコードの標準化が促進されます。
  • ログイン許可をユーザー単位で設定する: 管理者ツールでユーザーとグループを定義することにより、アクセスできるフォームや編集可能な情報を各ユーザーの FRACAS ステップに必要なものだけに限定できます。これにより、データのセキュリティと整合性を向上させることができます。
  • 監査証跡機能でデータを追跡し、セキュリティを強化する: PTC Windchill FRACAS には監査証跡機能も用意されており、データに対するすべての変更を追跡できます。これにより、PTC Windchill FRACAS に記録されたインシデント データのセキュリティとトレーサビリティが向上します。

結果

PTC Windchill FRACAS は、その独自の機能により、コミュニケーションの強化、タイムリーな顧客対応、システムの信頼性向上という Oerlikon Solar 社のビジネス目標の達成に貢献しています。Oerlikon Solar 社では、タイムリーな部品交換や品質保証、製品設計の改善という同社固有のニーズに合わせて PTC Windchill FRACAS のワークフローを構成しています。また、コミュニケーション機能の活用により、現場の技術者がインシデントを報告し、社内のエンジニアがインシデントに対処して、世界各地のアカウント マネージャがシステム指標を追跡するというプロセスを確立し、報告されたすべてのインシデントに効率よく対処できる体制を整えています。

PTC Windchill FRACAS について

PTC Windchill FRACAS (Failure Reporting, Analysis, and Corrective Action System) は、クローズ ループ型の是正措置プロセスを実現する包括的なソフトウェア ツールです。このツールを使用すると、テスト データやフィールド データ、修理データなどさまざまなインシデント レポートを収集、定量化、管理できます。また、インシデント分析や根本原因分析、インシデントの終了処理、傾向分析、是正措置の追跡といった是正措置プロセスの効率化にも役立ちます。ISO 9000、8D、RMA などの幅広いプロセスおよびコンプライアンス規格をサポートしており、導入環境固有の要件に合わせて堅牢性と拡張性に優れたシステムを構築可能です。搭載する機能には、カスタマイズ可能なデータ入出力、ワークフロー サポート、役割ベースのアクセス許可を含むセキュリティ、カスタム計算、信頼性解析、クライアントが不要な Web ベースのユーザー インタフェース、データ連携、信頼性成長解析、警告などがあります。