課題 Lifetime Products 社は、複雑化する製品ポートフォリオの管理という大きな課題に直面していました。紙資料のプロセス、旧式のシステム、サイロ化されたデータへの依存が効果的なコラボレーションを妨げ、イノベーションと全体的な成長を阻害していたのです。


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Lifetime Products 社の製品は、この数年間でより複雑化しました。イノベーションと継続的な改善に重点を置く Lifetime Products 社は、設計と製造の作業の流れをデジタルに移行し、標準化する必要性を理解していました。紙資料のプロセスと旧式のシステムでは、成長の速さに追いつけなかったからです。企業全体に価値をもたらすため、Lifetime Products 社は PTC を選択しました。

倉庫から慎ましやかに始まり、大きく成長した Lifetime Products 社

ユタ州クリアフィールドに拠点を置き、製造業として 30 年以上の歴史を誇る Lifetime Products 社は、ユタ州、テネシー州、中国で工場を運営し、オハイオ州、ミズーリ州、メキシコに配送センターを構えています。現在、世界 100 カ国以上に折りたたみ式の椅子やピクニックテーブル、家庭用のバスケットボール用具、カヤックまでの多岐にわたる製品を販売しています。また、スチールやプラスチックの OEM 製品も製造しています。

現在は家庭用のバスケットボール用具および、ポリエチレン製テーブルと椅子の両方で、世界をリードしています。

いくつもの重要な課題に直面する中、質の高い製品を製造しながら収益を拡大し続けるには、PLM への新しいアプローチが必要でした。

Lifetime Products 社は、2005 年にデジタルイノベーションへの取り組みに着手しました。当時は急激に成長していたため、新製品のデータや設計が大量に発生していました。これはすぐに課題となって現れました。新旧の図面と製品データはいずれも IT 部門と R&D 部門の 3 連バインダーに保管され、変更管理も同様に、紙ベースで行われていました。書類はファイリングキャビネットにひっそりと保管されるか、ひどい場合は管理もされずに社内に野放しにされていました。

 

その場しのぎのデジタル化では不十分でした。グラフィックやラベル、ステッカーがデジタル化されても、常に個人のハードドライブに保存されていたため、設計担当者がデータを入手するには誰かに電話する必要がありました。生産、製造、受入、品質などのほかの部門も製品情報やファイルを必要としていましたが、それらを探し出して入手するのは決して簡単ではありませんでした。Lifetime Products 社は、すべての製品データを 16 の異なるデータベースに保存していたからです。

必要なデータを取得するには、製品番号やデータベースの場所を覚えている必要がありました。その結果、多くの場合、製品開発チームは革新的な製品の設計よりも、データ管理や検索により多くの時間を費やしていたのです。このようなデータが混乱を極めた時期は、比較的単純な設計変更であっても、多くの製品ラインに影響が生じる場合、45 以上の対面式会議に出席しなければならないこともありました。

Lifetime Products 社にとって、このような状況が続くことは耐え難いことでした。製品の開発ペースを維持するためにはプロセス改善の必要があると経営陣は認識し、PTC の Windchill に注目しました。

「製品が革新的であるように、プロセスも革新的であるべきです」

- Brady Buchanan 氏、Lifetime Products 社 PLM ディレクター


 

Windchill を活用して 3 連バインダーからデジタル BOM に移行した Lifetime Products 社

1.CAD データ管理

Lifetime Products 社の製品ポートフォリオが拡大するにつれて明らかになったのは、図面やグラフィック、その他の製品データが広範に利用できないことで、コラボレーションがますます困難になっているということでした。不十分なデータ管理によって設計、製造、品質プロセスがサイロ化し、製品開発に悪影響を及ぼし、成長を阻害していました。問題はいくつもありました。バインダーに保管されたハードコピーの図面を除き、設計データは設計部門でなければ入手できませんでした。図面を入手するには従業員が、場合によっては敷地を走り回って実際のファイルを探し出してコピーする必要がありました。このため、設計者の時間は製品イノベーションではなく、ファイルの管理に費やされていたのです。

今後もさらに成長するには、社内全体で製品データを簡単に共有する必要があると Lifetime Products 社は考えました。そのためのデジタルトランスフォーメーション (DX) の第一歩が、CAD データ管理のデジタル化でした。Lifetime Products 社は Windchill を活用し、横断的な設計の環境と安全な製品データ管理システムを構築することで、企業間コラボレーションを実現しました。

この新しいソリューションにより、関係者は何百ものディレクトリを単一のデータベースに統合して製品データを管理できるようになり、社内外のチームは製品アップデートに関するリアルタイムなコラボレーションを実現しました。重要なのは、設計部門が CAD データ、また電子承認を含むリリース手順のリビジョン管理を実施できるようになったこと、そしてこのような変更が下流工程の関係者に伝わったと確認できるようになったことです。

2.新製品導入 (NPI) と変更管理

製品データを整理できるようになった後、Lifetime Products 社は新製品導入 (NPI) と変更管理プロセスの改善に着手しました。当時はいずれのプロセスも、プロジェクトの管理と実行を設計部門に大きく依存していましたが、そのワークフローは下流工程の製品関係者の関与を促進するものではありませんでした。

さらに、標準ワークフローがなく、ようやく整理されて活用できるようになった製品データを活用できていなかったため、運用は依然として製品データが紙資料であったころと変わりませんでした。これでは時間と労力がかかりすぎるため、品質リスクが高まり、マイルストーンを逃す可能性があります。その結果、Lifetime Products 社は製品開発サイクルに関与できていませんでした。ISO 認証を取得するときでさえ、企業は標準化された単一のアプローチではなく、5 つの異なるプロセスに従う 5 人のプロジェクトマネージャに依存していました。

このような課題に対応するため、Lifetime Products 社は Windchill の標準化されたテンプレートを活用し、新製品導入 (NPI) プロジェクトのワークフロー、設計変更指示 (ECO)、プログラム管理を実施するようになりました。Windchill の変更管理ソリューションにより、ニーズに合わせて自動化され、迅速な導入が可能なワークフローで変更管理プロセスの標準化を行いました。その結果、リーダーは変更の調整、アクセス性と可視性を実現できました。さらに、このような変更は、影響を受けるデータに直接関連付けられ、これまでなら数週間待たなければならなかった実装も、企業全体でリアルタイムに実行できるようになりました。

3.設計部品表 (EBOM)、製造部品表 (MBOM)、ERP との連携

この時点で、Lifetime Products 社のデジタルトランスフォーメーション (DX) は大きな効果を発揮していました。標準化されて管理されるようになった PLM のメリットを、大半の人々が実感するようになっていたのです。しかし、設計部品表 (EBOM) は依然として電子メールや Excel ファイルで構成管理部門に提供されており、これが原因となって問題が発生することがありました。設計部品表 (EBOM) 管理が統合されていないことにより、重複した BOM 情報が ERP システムに手入力されていたのです。製造部品表 (MBOM) も同様に、設計に変更が加わるたびに手作業で作成し、更新する必要がありました。このため、更新内容が誤って入力される、また更新そのものが行われないなどのミスが発生しやすく、品質低下や不適合を引き起こしていました。

このようなリスクを回避するには、部品主体の BOM アプローチが必要でした。そこで、Lifetime Products 社は PLM 機能を拡張し、業界標準の BOM ベストプラクティスとワークフローを活用できるようにしました。製品構成や派生文書を上流工程から下流工程の両方で包括的に管理できる「クローズドループ型」のライフサイクルシステムのメリットを活用して、今ではチーム同士が最新の製品データを取得し、コラボレーションできるようになりました。

Lifetime Products 社は Windchill の堅牢な BOM 管理機能を利用し、設計部品表 (EBOM) から製造部品表 (MBOM) への自動変換を実現することで、部品管理を強化しました。視覚化モデルとデジタルモデルも製品開発プロセス全体で利用できるようになりました。さらに、Windchill の ERP 連携機能は、エラーを起こしやすいデータの重複プロセスを排除し、Windchill 上の BOM 変更を自動で ERP システムに反映できるため、効率性と製品データ品質が向上しました。このようにして、Lifetime Products 社は製品データの信頼できる唯一の情報源として Windchill を活用しています。

4.部品分類

製品が成熟し、製品ラインが拡大するにつれ、管理する部品や最終製品も増加しました。当初、Lifetime Products 社は、部品番号そのものに詳細な説明や情報を持たせられる意味あり部品番号を作成することが優れたソリューションだと考えていました。しかし、データを管理できる強力な PLM ツールにアクセスできるようになってからは、考えが変わりました。Windchill の導入により上記のような変更を実現できたため、意味あり部品番号はもはや不要だと判断したのです。それどころか、意味あり部品番号を使い続けることにより、大きな問題が生じていました。それは、意味あり部品番号では製品やコンポーネントを検索しにくいということです。設計者は同じ機能をもつ既存の部品を探すより、一から作り直したほうが楽だと思っていたほどです。戦略的な観点からも、意味あり部品番号は拡張性に欠けるため、企業が効果的に活用するには詳細なトレーニングが必要でした。

このプロジェクトの準備として、Lifetime Products 社はある調査を行いました。サンプルテストとして、5 つの異なる製品に使われているリベットを比較するよう製品設計者に依頼したところ、その 5 つの製品全体で、3 社のサプライヤーの 5 つの異なるリベットが存在することがわかりました。さらに調査を進めると、大量の類似部品が混同して使われている可能性があることも発覚しました。つまり、設計作業や購入に重複が生じ、膨大な時間とリソースが浪費されているかもしれないということです。

効果的な再利用には、効率的な部品の分類と検索機能が必要でした。Lifetime Products 社は Windchill の 部品分類により、社内全体で共通した部品の命名規則を導入しました。意味あり部品番号スキームを完全に排除し、その代わりに機能特性や形状、仕様などの要件および分類属性で部品を整理および検索できるようにしました。こうして、実績のある IP を活用することで設計サイクルを加速し、購入量を増やして在庫を減らすことで調達コストを削減しました。また管理が必要なサプライヤーと部品を制限することで、サプライヤーの品質が向上しました。

結果: PLM の価値を享受

「PLM は単なる研究開発ツールではなく、企業のためのツールです。この非常に価値のあるツールを導入することで、企業全体の効率化がより促進されます」

- Brady Buchanan 氏、Lifetime Products 社 PLM ディレクター


 

Lifetime Products 社は、Windchill のすぐに使用できる機能、シームレスなコラボレーション、動的なデータの可視化により、迅速に価値を実現できるようになりました。Lifetime Products 社にもたらされたメリットは、以下のとおりです。

  • 16 の製品関連データベースを Windchill に統合
  • 45 以上の対面式会議を電子変更管理システムに移行
  • 400 人以上の PLM ユーザーをグローバルで標準化
  • CAD ユーザーを 50 人以上に増大
  • 15 以上のチームで企業間コラボレーションを実現

さらに、Lifetime Products 社は以下も実現しました。

  • 変更プロセス管理の効率化
  • プランニングサイクルの早期化
  • 企業統合
  • 市場投入までの期間の短縮
  • 品質の向上
  • プロセスのさらなる重視
  • 拡張性
  • 設計の手戻り削減
  • イノベーションにかける時間の増加
  • 新たな成長力の獲得
  • 新製品の改良
  • プロジェクト管理の効率化
  • 廃棄、スクラップ、手戻りの削減
  • リアルタイムの仮想データアクセス

ほかの大手メーカーが、どのようにデジタルトランスフォーメーション (DX) を活用しているのかをご確認ください。

詳細はこちら:https://www.ptc.com/ja/technologies/plm/digital-innovation


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