MAN Truck & Bus 社の成長を加速させた ThingWorx Navigate

ドイツのミュンヘンに拠点を置く MAN Truck & Bus 社は、ヨーロッパにおける商用車および輸送ソリューションの国際的なトップ・プロバイダです。MAN SE の最大の子会社である MAN Truck 社の製品は、重量物運搬車から都市バスや鉄道車両、ディーゼルエンジンや天然ガスエンジンまで、多岐にわたります。この製造メーカーは、ヨーロッパ 3 カ国に加えて、ロシア、南アフリカ、インド、トルコの各国に製造工場を有しています。

ビジネス課題

MAN Truck 社はデジタル変革の過程にありました。同社の誇りは、顧客ごとに個別化した製品を製造していることです。ところが、カスタマイズという複雑なタスクをこなすには、社内の多岐にわたるレガシーなエンタープライズシステムで製品情報を処理する作業は複雑になり過ぎていました。同社に必要なのは、製品開発の中核となる PLMで実現する "バックボーン" でした。つまり、中核となる基本機能によってデータを管理する安定したシステムです。これにより、チームは製品を効率的に開発、製造し続けることができるようになります。

それを実現するために MAN Truck 社が導入したのが、PTC の製品ライフサイクル管理ソリューションである Windchill でした。でも、レガシーシステムから Windchill への移行は、総入れ替えすればよい、というほど単純なものではありませんでした。「関係者は製品ライフサイクル全体で、依然としてレガシーシステムを使っていたため、彼らが保存していた貴重な製品情報が Windchill への移行時に失われてしまうのではないかという懸念がありました」と、MAN Truck & Bus 社の PLM プログラム・マネージャ、マーティン・ムンディヌス (Martin Mundinus) 氏は言います。

また、設計チーム以外の関係者も、それまで設計チームしか利用できなかった重要な製品情報にアクセスする必要がありました。MAN Truck 社が必要としていたのは、社内の関係者が設計システムの基本的な理解やアクセス方法に関し、まとまったトレーニングを受けなくても、製品情報を簡単に入手できる方法でした。 

ソリューション

レガシーシステムから Windchill へとスムーズに移行する一方で、製品データを企業全体に拡張するために、MAN Truck 社では ThingWorx Navigate を導入しました。これは、さまざまなエンタープライズシステムの適切な製品データを、必要とするユーザーに対して提供する、タスクおよび役割ベースのアプリケーションセットです。ThingWorx Navigate により、関係者はレガシーシステムを使い続けることができ、新しい情報をこれらのシステムに追加入力する必要はありません。たとえば、MAN Truck 社では図面リリースのレガシープログラムを廃止する予定です。ThingWorx Navigate により、レガシープログラムの情報と Windchill の情報のマッシュアップを確認し、どの図面がリリース済みであるかを判断できます。

さらに、ThingWorx Navigate と Windchill を一緒に導入することで、中核となる PLM システムに合わせて複雑な調整を行わなくても、ユーザー・エクスペリエンスを簡単にカスタマイズすることができます。そのおかげで、同社は今後、複雑な更新やアップグレードをせずに済みます。

MAN Truck and Bus 社が ThingWorx Navigate を導入

結果と次のステップ

ThingWorx Navigate を展開したおかげで、MAN Truck 社の関係者は Windchill に移行しても高い生産性を維持することができました。現在 200 名のユーザーがいる同社では、ThingWorx Navigate を 2,000 名のユーザーに展開し、この製品のユースケースを拡大する予定です。MAN Truck 社はThingWorx Navigate を利用して、社内プロセスのデジタル化を始められるようになります。

ムンディヌス氏は次のように述べています。「ThingWorx Navigate のおかげで、レガシーシステムから Windchill にスムーズに移行できただけでなく、製品情報を以前よりも多くの関係者に届けることの価値が実証されました」

同社は現在、ThingWorx Navigate を使って、製品データを関係者に届けるほかのユースケースも検討しています。たとえば、生産技術システムへの拡大などです。MAN Truck 社ではまた、スマート・コネクティッド・プロダクツの利用も検討しており、PTC の ThingWorx プラットフォームでデジタルツインを構築しています。同社はコネクティッド・トラックのプロトタイプに取り組んできました。これは、現場の製品から得られる GPS ロケーションやその他の現地の情報を、設計や製造から得られる製品情報と組み合わせるというものです。製品のデジタル情報と物理的なエクスペリエンスというこの組み合わせにより、MAN Truck 社はいつどこで問題が発生するかを判断し、その品質に関する情報を製造に戻すことができます。さらに MAN Truck 社は、現場のトラックにサービスを提供するために、拡張現実 (AR) の利用も検討しています。AR ヘッドセットを装着したユーザーが製品の品質に関する問題を文書化すると、それが設計と製造の両方に自動的にフィードバックされます。

PTC Windchill と ThingWorx Navigate の詳細については、 PTC.comをご覧ください。