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プロアクティブなサービスへの移行が求められる理由

機器メーカーが IoT や内蔵型スマートセンサーを急速に採用する一方、新しい接続オプションが登場し、豊富な運用データへの容易なアクセスが可能となっています。これらのデータを分析しモデリングすることで得られる情報を活用し、リアクティブなサービスからプロアクティブなサービスへと移行したいと考える機器メーカーやユーザーが増加しています。先日、RTInsights は PTC で AI、アナリティクス、デジタルトランスフォーメーション (DX) の担当責任者を務める Chris MacDonald と対談し、この分野への関心が高まっている要因、企業が直面する課題、成功へと導く主要な技術について話を聞きました。ここでは、その対談の概要をご紹介します。

RTInsights: プロアクティブなサービスへの移行に対する関心が高まっている理由を教えてください。また、なぜ今なのでしょうか?


 

MacDonald: サービスとアフターマーケットは、現代の製造業の重要な要素となっています。顧客はより大きな価値を求めており、メーカーは顧客との緊密な関係を長期的に築くことで収益性と持続可能性が向上することを認識しています。そうでなくても、少なくとも同じ顧客から繰り返し着実な収益を上げることができます。

 

製品から得られる収益は縮小し続けています。企業と経営陣は、より大きな価値を提供し、顧客とのより緊密な関係を築き、顧客の業務の奥深くにまでソリューションを埋め込み、その中核的な事業に関連する製品およびサービスを追加で提供することで、収益の縮小を相殺することに注目しています。

多くのメーカーにとって問題なのは、従来、サービスおよびアフターマーケット市場の大部分がサードパーティーに託されていることです。サードパーティーは、まったく同じ方法で作業しないこともあれば、ガイドラインを忠実に守らない可能性もありますしかしプロアクティブなサービスへの移行により、主導権を取り戻すことができます。具体的には、少なくとも可視性が得られるサービスの標準化を可能にするある程度の主導権を取り戻すことができます。

サービスにより、新製品の販売の 2.5 倍の利益を生み出し、多くのメーカーが収益全体の 40 ~ 50% をアフターマーケットから得ていることを考えると、メーカーがプロアクティブなインサイトとプロアクティブなサービスへの取り組みを開始する理由は明らかです。これにより、現場の機器と設備音に耳を澄まし、特定されたパターンに合わせて機器の動作を調整できます。また、プロアクティブなアプローチは、サービスビジネスの収益性を保護することもできるので、より積極的なサービス品質保証契約 (SLA) を提供できます。その結果、ビジネスの収益を向上させ、長期的に維持できる可能性が高くなります。


RTInsights: プロアクティブなアプローチを使用するメリットを教えてください。


 

MacDonald: 例を使って説明します。視点を変えて、物理的な設備、つまりスマート・コネクティッド・プロダクツ (SCP) について考えてみます。テレメトリーデータや、場合によってはシステムからのその他のサービス関連データがあるとします。これは、「無意識に聞こえること」に相当します。次に問題になるのが「意識的に何を聞くか」という点です。騒音が多い中で、重要なものだけを選別して聞くにはどうすればよいでしょう?

予測的分析や処方的分析などは考慮せずに、パフォーマンスに関連する機能と統計的重要性について考てみましょう。そうすれば、周囲に騒音があっても、どの音が調和していてどの音が外れているか、はっきりと聞き取ることができます。

もちろん、悲鳴はいつでも無意識に耳に入ります。しかし通常、悲鳴はなんらかの危機にすでに遭遇していて傷を負った誰かまたは何かから発せられるものです。このため、後から問題に対応することになります。

正しい情報を聞き取る能力にはメリットがあります。パフォーマンスのパターンと動作を特定し、何が起こっているかを診断できるようになります。顧客はシームレスな業務を期待しています。真偽のほどは定かでなくても、メーカーが原因で計画外ダウンタイムが発生したと考え、メーカーを非難する傾向があります。外れた音を聞き取ることで、機器または顧客から悲鳴が上がる前に問題に対応できます。

分析は、前述したような診断に役立つデータを提供します。これにより、ベストプラクティスからの逸脱や、環境内での機器の本来の運用方法または使用方法を特定できます。この分析に基づくプロアクティブなサービスは、実際に問題が発生する前に特定します。

コネクティッド・プロダクツを使用すると、機器が稼動している環境で何が発生しているかを把握できます。特に高度な分析により、データを処理して統計的に関連する異常、パターン、イベントを特定できます。これにより、問題の本質をより客観的に理解できるようになります。