課題 Bell and Howell 社では、成功を促進するソリューションを提供することを重視しています。その顧客と OEM パートナーは、サービスリクエストへのより迅速な応答、コストの最小化、リアルタイムデータの監視と分析を実現する製品を提供するために、Bell and Howell 社に依頼しています。


ThingWorx 上に構築された BH Connect ソリューションにより平均修理時間を 60% 短縮

数年に渡るサービスジャーニー

世界最大規模の高度なサービス組織の 1 つである Bell and Howell 社は、世界の金融、産業、および公共部門における大手企業の円滑な業務遂行を支えています。

処方箋を受け取るとき、クレジットカードを郵送で受け取るとき、オンラインで食料品を注文して店舗で受け取るとき、人々はいろんな場面で Bell and Howell 社のサービスとソリューションを利用しています。同社は、さまざまな産業用オートメーションソリューションを提供しているだけでなく、30 社以上の OEM が製造した 30,000 基を上回る設備に対してサービスを提供し、年中無休でカスタマーサービスと技術サポートを提供しています。

3 年前、同社はイノベーションの岐路に立っていました。Bell and Howell 社のハイテク生産ワークフローと自動化システムは非常に印象的ですが、同社はさらに大きな価値を提供できることを知っていました。Bell and Howell 社のJim Feely 副社長は「以前は、90 %や 95 %の稼働率でも許されていたかもしれませが、現在は稼働率は 99 %から 100 %でなければなりません。達成するためには、問題が発生する前に修理するしかありません。それを可能にするのは予測分析だけなのです。」とコメントしています。

Feely 氏は「当社のビジネスは驚異的に成長しています。このような成長を遂げられたのは、当社のテクノロジーが向上したことと、業界の競合会社をはるかに凌ぐレベルのサービスを提供できるようになったからです。」とコメントしています。

手作業による、非効率的なサービスプロセス

Bell and Howell 社は、サービス提供のイノベーションを促進し、同社の最も重要な課題のいくつかを解決するために、産業 IoT (IIoT) テクノロジーがどのように役立つかを積極的に探求しました。

既存のサービスメンテナンスプロセスは時間がかかり、効率的ではありませんでした。サービスネットワークは携帯端末を介して 800 人超の現場技術者をコールセンターに接続していましたが、マシンデータを分析して問題を診断し、技術者に情報を伝えるプロセスは非常に煩雑でした。

マシンで技術的な問題が発生すると、複数のステップからなるサービスプロセスが始まり、完了するまでに平均 2 時間半を要しました。問題を報告した顧客から電話を受けると、コールセンターは手動でサービスチケットを作成します。その後、システムは対応可能な技術者にチケットを割り当て、ほとんどの場合、その技術者が顧客サイトで問題をトラブルシューティングして解決していました。

Bell and Howell 社は、根本的な変革のために、機器やシステムへの接続性だけでなく、自動化されたデータ集計と分析の統合が必要であると認識していました。産業 IoT プラットフォームであることを明確な前提条件として、適切なソリューションの模索が始まりました。

サービス向け産業 IoT プラットフォームの評価

Bell and Howell 社は、マシンの接続性と分析に関連する基準を設定して、4 社の産業 IoT ソリューションベンダーを評価しました。同社は、産業 IoT の専門知識を持ち、信頼できるリーダーを求めていました。迅速に実証可能な成果を得るためには、投資利益率を素早く向上させた実績があり、ソリューションのアジャイル開発を可能にする専用の産業 IoT プラットフォームを備えたプロバイダーを選択することが重要でした。

同社は最終的に PTC の ThingWorx Industrial IoT Solutions プラットフォームを選択しました。このプラットフォームは、接続性、アプリケーション開発、分析、および管理に単一のソリューションを提供するエンドツーエンドのテクノロジープラットフォームです。

ThingWorx と Microsoft Azure クラウドプラットフォームはすでに統合されているため、ThingWorx プラットフォームを Bell and Howell 社の既存のアプリケーション開発環境にシームレスに導入することができました。Microsoft Azure は、絶えず拡大するクラウド機能を Bell and Howell 社に提供し、サービス関連の課題解決を支援します。ThingWorx と Microsoft Azure の組み合わせは、同社が成長するサービスポートフォリオを大規模に構築、管理、展開するために必要としていた柔軟で安全な基盤を提供しました。

これらのピースを適切に配置したうえで、同社は最初のコネクティッド・サービス・プロジェクトに移行しました。

BH Connect: サービス変革のための完全なソリューション

Bell and Howell 社は、同社が提供する最高のコネクティッドサービスである BH Connect により、リモートモニタリング、診断、修理を含む包括的なサービス機能を提供しています。最初から、顧客の反応はこの上なく好意的でした。

コストと時間のかかる「出張-診断-修理」サイクルは、より高速で効率的なリモート診断に置き換わりました。これにより、Bell and Howell 社は、オンプレミスからリモートでのサービス提供に移行し、現在では 1 つの事業セグメントで全サービスコールの 70% 超に対応しています。多くの場合、技術者は遠隔で機器の修理を完了させることができ、全体の修理時間の大幅な短縮につながっています。

Feely氏は「お客様の最大の関心事の一つは、サービスの対応時間です。BH Connect によって、ほぼ瞬時に対応できるようになりました。お客様に修理担当者は至急必要ですかと尋ねて、今すぐにと言われたとしても、今ならそれが可能です」と述べています。

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高度な分析で価値を高める

BH Connect の成功を受けて、Bell and Howell 社はデジタルトランスフォーメーションジャーニーの次のステップに目を向けました。高度な分析を使用してパフォーマンスとオペレーションに関するインサイトを得て、顧客のオペレーションの最適化、スマートな意思決定、非稼動時間の削減を実現するというものです。

ThingWorx をベースに構築された同社の高度な分析ソリューション BH Analytics 360 は、接続されたマシンからデータを収集・分析し、その結果をサービス技術者、顧客、経営陣にわかりやすい形式で提供します。これらの接続されたマシンでは、技術者は、必要な時に必要な場所で、簡単な操作で実用的な深いインサイトを得て、自信を持って情報に基づく意思決定ができるようになりました。

Bell and Howell 社のデータアナリティクス担当副社長である Haroon Abbu 博士は、「初めて、顧客が問題の存在に気づく前に問題を特定して解決できるようになりました。当社のサービス業務に大きな付加価値が生まれ、お客様へのサービス提供と成果を変革することができます。」と述べています。

非稼動時間を予測し、防ぐ能力

稼動時間の最大化は、Bell and Howell 社のすべての顧客の第一目標です。マシンの故障を迅速に解決し、業務の中断を最小限に抑えるには、リモートサービスが鍵となります。しかし、当然のことながら、顧客が本当に求めているのは、そもそも非稼動時間が発生しないようにすることです。そこで登場するのが、予測サービスです。

Feely 氏は、「ThingWorx を使えば、マシンがどのように動いているかを知ることができます。そのため、いまやマシンが故障する前に問題を発見できるようになりました。これが予測サービスの重要なポイントです。故障する前に解決できれば、非稼動時間が発生する前に修正できます。これは顧客にとって大きなメリットであり、Bell and Howell 社を差別化する重要な分野の一つになっています。」と述べています。

Bell and Howell 社では、接続されたマシンからのデータを継続的に監視して収集し、リアルタイムのパフォーマンス、作動状態、環境条件、予測される動作、摩耗、および潜在的な問題の兆候をオンデマンドで把握しています。これは、予測サービス戦略を構築するための基礎となります。

  • 正常なパフォーマンスのデータパターンを確立する
  • 予期せぬ動作の変化をリアルタイムで検出する
  • 問題を迅速に特定し、原因を診断する
  • 誤動作を未然に防ぐ (非稼動時間を回避する) ための最善の方法を処方する

接続されたマシンは膨大な量のデータを生成するため、手動での管理が困難な場合があります。ThingWorx は、この豊富なデータを取り込み、高度に自動化された機械学習と人工知能を使って分析します。ユーザーに適した可視化と言語を使用して、記述的分析や履歴分析から予測的および処方的なインサイトに至る幅広い分析を生成します。

サービス従業員にこれまで以上の知識を蓄積し、作業の効果を高めることで、Bell and Howell 社はサービス事業のあり方を一変させました。予測サービスとは、メンテナンスが予定どおり、または予定よりも早く完了すること、部品が寿命を迎える前に交換すること、機能的な問題が最小限の中断で解決されることを意味します。これらはすべて、稼動時間の増加につながります。

また、避けられない問題が発生した場合、フィールドサービスの技術者はマシンの動作をより深く理解し、パフォーマンスデータと分析をリアルタイムの表示と連動させて、問題を正確に診断し、原因を特定して、迅速に解決することができます。

産業 IoT 対応のサービスジャーニー: 次のステップ

その迅速な成功と投資利益率に力を得て、Bell and Howell 社は、サービス効率の最大化を目標に、さらにいくつかのクラスのマシンを BH Connect プラットフォームに接続する予定です。同社は、拡張現実 (AR) をベースとしたサービスの提供を含むサービスポートフォリオの拡大など、サービス向けの産業 IoT テクノロジーやソリューションへの投資を継続し、さらに拡大していく構えです。Bell and Howell 社は、ThingWorx プラットフォームの導入により、顧客に堅牢で高品質なソリューションを提供し、新たな収益源を創出するカスタマーサービスのイノベーションを実現する体制を整えています。