HIROTEC AMERICA 社は、60 年を超える大量生産の経験とエンジニアリング技術を持つ年商 16 億ドルの企業グループである HIROTEC Group のグループ企業です。世界 9 カ国に 26 の施設を持つ HIROTEC Group は、トップレベルの自動製造機器と部品のサプライヤとして世界的に認知されています。

HIROTEC 社の実績ある高品質の工業生産コンセプトおよびシステムは、50 年以上にわたり、ゼネラル モーターズやマツダなどの大手自動車メーカーによって採用されています。部品やツーリングのサプライヤとして年間におよそ 700 万枚のドアと 150 万台の排気システムを設計および製造している同社は、今日のグローバルな自動車市場で最大規模の民間製造企業です。

課題

OEM メーカーにとって非稼働時間は大きな問題です。ほとんどの場合、そうした問題に関与する機器は、稼働時に状態に基づくモニタリングは行われず、基本的に故障が発生するまで稼働し続けます。故障が発生すると、適切なスタッフが連絡を受けて状況を見極め、生産スケジュールに大きな遅れが出ないよう、可能な限り速やかに修理を行います。天候や交通パターンなどの外的要因も、非稼働時間を発生させる原因となり、組織の作業効率の低下や不適切なリソース配置を招きます。

HIROTEC 社は、手元の情報やシステムを利用して、運用とプロセスについてより深く把握することで、事後対応的なメンテナンスと機会の喪失につながるこうした傾向を排除したいと考えました。同社では、かなり前から、顧客の生産施設のセンサーや機械と自社のシステムから産業データを収集し、意思決定と業務プロセスの追跡に利用してきました。しかし、この大量のデータが手作業で分別されて複数のソースに保存されていたため、全体的かつ組織的な解析の利用は不可能でした。品質の向上、非稼働時間の削減、生産スケジュールの最適化のためには、最新の自動化されたソリューションを導入し、メンテナンスと運用に関する情報を 1 つのソースに集めて、実行可能な推奨事項を品質管理担当者に提供できるようにする必要がありました。

アプローチ

接続性、データ アクセス、スケーラビリティの必要性を認識した HIROTEC 社の経営陣は、モノのインターネット (IoT) の潜在的なメリットを活用する、競争力のある戦略の策定に取り組みました。

この取り組みで最初に行ったのは、同社の IoT プロジェクトを支援する基盤テクノロジの特定でした。

従来の産業オートメーション ベンダーが提供するIoT ソリューションをいくつか評価したところ、多くのソリューションが、ビジネスの 1 つの側面、プロトコル、または標準のみに対処するものであることがわかりました。複数の部門で使用されている複数のソリューションの統合に時間と労力を費やしたくないと考えた HIROTEC 社は、1 つの包括的なツールセットで全社規模のデバイスとクラウドの接続性を実現するために、最終的に ThingWorx® IoT Platform と Kepware の KEPServerEX® に注目しました。これらはともに PTC のソリューションです。両ソリューションの連携により IoT 用のスマート ソリューションを一元化することができます。KEPServerEX からビッグ データや解析のソフトウェア アプリケーションに情報をプッシュできる高度なプラグインである IoT Gateway for KEPServerEX を使用し、このプラグインからストリーミングされる産業データを利用して、ThingWorx Platform で HIROTEC 社のデータの分析情報を提供します。

IoT に関する長期的な企業ビジョンをサポートするため、HIROTEC 社は PTC の担当者の協力を得て、6 週間という短期のアジャイル スプリントによってサポートされる IoT フレームワークを構築しました。完全な IoT の実装となると、コンセプトの裏付けを得るために数年かかると考えられたため、スクラム モデルを利用して、計測可能で目に見える進捗をわずか数週間で経営幹部に提示しました。

ミシガン州デトロイトにある HIROTEC 社の北米工場が最初の小規模なスプリントの試験台として選ばれました。その工場の 8 台のコンピュータ数値制御 (CNC) マシンによって生成されるデータのタイプが独自だったことが、その理由です。ThingWorx IoT Platform では、アナリティクスが得られるとともに、データ ビジュアリゼーション用の役割ベースのアプリケーションをすばやく開発することができます。そうしたアプリケーションで Kepware の IoT Gateway for KEPServerEX によって CNC マシンのデータを収集し、リアルタイムでクラウドにストリーミングします。.これにより、HIROTEC 社は、産業機器およびシステムの運用と状態の両方のカスタマイズされたビジュアリゼーションに、労力をかけずにアクセスできるようになります。

結果

ThingWorx IoT Platform と Kepware の IoT Gateway を導入して以来、HIROTEC 社では CNC 作業場のプロセスをより深く視覚的に把握できるようになり、運用状況の理解も深まりました。CNC マシンの稼働時間データにアクセスできることは、以前は憶測や事後解析に頼っていた作業場のスケジューリング プロセスに早々に大きな影響を与えました。製造部門の幹部は、作業場のリアルタイム データを、スケジューリングを行う ERP システムにリンクし、CNC モジュールに合わせて部品のスケジューリングを最適化できるようになりました。

さらに、このプロセスにより、現在のニーズや優先事項に関する賢明な質問が自動的に設定されて、最も効果的な方策が特定されるため、資産とリソースの割り当てをより深く把握できるようになりました。その結果、作業場全体の生産性が高まり、ROI が向上しました。

また、オペレーション部門と情報技術 (IT) 部門のコラボレーションも改善されました。研究開発エンジニアと日々協力し合うことで、IT チームは企業ロードマップと戦略的目標へのアクセスをすぐさま獲得し、より戦略的なレベルで貢献できるようになりました。複数の部門にまたがるチームの構築によって企業全体のコミュニケーションが向上しただけでなく、視点が広がったことで、IT 作業によりすばやく効率的に対応できるようになりました。

HIROTEC 社では、IoT への取り組みが、オペレーションから IT、財務予測、顧客関係、営業まで、ビジネスのあらゆる側面に影響を及ぼすと見ています。スプリント プロジェクトを進める中で、HIROTEC 社は今後もさまざまな状況に応じたデータの有用性を体験し、そうしたデータに基づく共通の業務プロセスと解析を作成していくことでしょう。同社では、最終的にはこうした知識を利用して IoT 対応の生産ラインを構築し、機器のリモート監視とリモート管理を一元的なダッシュボードから実行できるようにすることで、予測に基づく事前対応型メンテナンスを促進する計画です。

解決策:
  • ThingWorx® IoT Platform
  • KEPServerEX®
  • IoT Gateway アドバンスト プラグイン
  • Manufacturing Suite

組織に与えた影響とメリット

  • CNC 作業場のプロセスの可視性が高まり、オペレーションに関する理解が深まった
  • 作業場のリアルタイムのデータを、スケジューリングを行う ERP システムにリンクし、CNC モジュールに合わせて部品のスケジューリングを最適化することが可能になった
  • 資産とリソースの割り当てに関する理解が深まったことで、生産性と ROI が向上した
  • オペレーション部門と IT 部門のコラボレーションが改善されたことで、非稼働時間が減り、IT 作業への対応が効率化された
  • 実績のある相互運用可能なテクノロジを選ぶことで、コストと労力が低減され、開発時間が短縮された
  • 6 週間という短期のアジャイル スプリントにより、IoT の価値に関する概念実証をすばやく行うことができた

ダウンロードはこちら: Hirotec 社、IoT イニシアチブを開始 (.PDF)