課題 モートや老朽化の進んだ工場装置が混ざり合った複雑な環境のメンテナンスは決して容易ではありません。Quant 社が直面している課題は多くありますが、とりわけ安全性の確保とメンテナンス費用の削減が一番の課題となっています。


quantPredict により、データ主体の分析情報を介して工場の稼働時間と効率を向上。

Quant 社は数十年にわたり、ABB Group や Dow 社、Shell 社など、400 社を超える世界中の法人顧客企業からパートナーに選ばれてきました。Quant 社は、工場のメンテナンスを一手に引き受ける総合サービスにより、顧客が工場のポテンシャルを余すところなく引き出せるようサポートしています。そのサポート範囲は、メンテナンス費用の最適化や工場パフォーマンスの改善、優れた安全対策の周知、正しいメンテナンス文化の醸成など、あらゆる点に及んでいます。

現在 Quant 社は、20 カ国以上で 70 件の総合メンテナンスのアウトソーシング契約を締結し、メンテナンス費を管理しています。Quant 社の社員は 2,600 名、2019 年の収益はおよそ 2 億ユーロに上ります。

Quant 社の中核は工場装置のメンテナンス業務の変革であり、産業用モノのインターネット(産業 IoT)を活用して次のレベルへと進めているところです。

コストと収益性のバランス

Quant 社は機械やジェネレータ、ポンプ、モーターを所有しておらず、OEM 装置の販売を行っているわけでもありません。従業員が Quant 社の資産なのです。Quant 社が通常結ぶ契約は、Quant 社が管理する工場施設などのサイトに Quant 社のチームを配属する長期契約です。たとえば、製紙工場の機械のメンテナンスを担当する場合、アウトソーシングサービス(全員が現場スタッフ)および予備部品が含まれる固定価格の複数年契約を交わしています。

つまり、Quant 社は、顧客のメンテナンス部門を提供しているのです。そして多くの場合、契約先施設の既存の作業員と協力して作業を進めています。「装置について最も詳しい人は、日々その装置を扱っている人です。そのため、当社はそのような現場の知識を大事にするべきと考えています」と、Quant 社の最高デジタル責任者である Olof Hedin 氏は言います。

Quant 社ではプロセス、管理、業界全体のパフォーマンスに関する詳細な知識を積み重ね、顧客と相互合意のうえで決定した目標(または KPI)の達成に取り組んでいます。また、効率向上を目的とした(基本的には安全性や技術面での対応力をベースにした)賞与モデルが、クライアントから提案されることが珍しくありません。アウトソーシングに不慣れな顧客を相手にする場合、契約の構造や賞与モデルに関する助言も行っています。

安全性の確保と生産性の向上

リモートや老朽化の進んだ工場装置が混ざり合った複雑な環境のメンテナンスは決して容易ではありません。Quant 社が直面している課題は多くありますが、とりわけ安全性の確保とメンテナンス費用の削減が一番の課題となっています。

Quant 社にとって、「安全第一」は単なる決り文句ではありません。Quant 社が行うあらゆる業務には安全意識の文化が根付いており、ミーティング開始時には作業員のセキュリティチェックを毎回実施しています。強固な安全第一の意識が徹底されている顧客との契約がほとんどですが、そうでない場合には、研修を通じて安全意識の習慣をプロレベルにまで強化しています。

契約の収益性には、低コストでサービス目標を達成できるかどうかが直結します。そのため、Quant 社は、複数年契約の締結前に工場装置の使用年数、弱点、コストを高い精度で予測できなければなりません。工場のメンテナンス費用を削減できれば、顧客の生産量の最適化と Quant 社のコスト削減につながり、双方が収益性を向上させることが可能になります。

産業用機械のメンテナンスのデジタルトランスフォーメーション

Quant 社が受け持つ工場では、作業員や工場装置が似通っていることがほとんどです。Quant 社の価値は、データから得られた分析情報を基に、このようなリソースの管理を改善できる点にあります。Quant 社は、さまざまな工場環境で求められる操作手段を現場に提供するため、2015 年にデジタルトランスフォーメーション戦略に着手しました。

「強力なデジタルツールボックスがあれば、新次元の生産性に到達するとともに、メンテナンスプロセス単体では再現しづらい知識ベースを構築できるでしょう」と Hedin 氏。

そして生まれたのが、最先端のプロセスと方法論、世界レベルの安全性管理、カスタマイズされたデジタルプラットフォームを結集した Quant Smart Maintenance です。このソリューションは、安全性や持続性、オンラインでの総合設備効率 (OEE)、価値レポート、ビッグデータ分析など、幅広い業務活動を管理します。その要となっているものが、Quant 社が ThingWorx を用いて開発した条件ベースの予測メンテナンスアプリケーション、quantPredict です。

「当社は、お客様が求める稼働時間と価値の実現に対して全責任を負っています。当社にはさまざまな地域や業界に関する知見と経験があるため、他にはない観点からこのような成果を上げられているのです。業務におけるデジタルソリューションの役割はますます大きくなっています」と Hedin 氏は続けます。

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