課題 洋上船舶の状況を完全に把握できていなかった Sapura 社は、競争力を高め、業務を拡張し、需要を満たすために、大量の遠隔地の業務データを簡単かつ安全に収集できる総合的なコネクティビティソリューションを必要としていました。


  • 業界をリードする世界的な石油/ガス統合サービスおよび海底ソリューションプロバイダーが、9,000 万テラバイトのデータを海底から制御室に送信可能
  • PTC の ThingWorx Kepware Server が機械の運用状況の可視性を高め、危険な状況にある作業員の安全性を向上
  • 高度な産業 IoT テクノロジーがトラブルシューティングを改善し、ダウンタイムに関連するコストを削減

Sapura Navegação Marítima (Sapura) 社は、ブラジルに拠点を置く海底サービスの専門組織であり、Seadrill 社と Sapura Energy 社の合弁事業として始まりました。これら 2 つの大手石油およびガス産業プロバイダーの専門知識を活用する Sapura 社は、ブラジル市場でトップの海底サービスを提供する組織の 1 つとなりました。Sapura 社には 1,000 人を超える従業員が在籍し、7 隻の大型船を所有しています。この 7 隻のうち 6 隻は、サポート、設置、フレキシブルパイプの配管用の潜水艦で、残り 1 隻は客船兼ドライカーゴ輸送船舶です。

課題

今日のエネルギー産業界は非常に競争が激しく、海と陸の両方で顧客の要求に応じていつでもサービスを提供する必要があり、組織はプロセス改善のために革新的な新手法を見つける必要に迫られています。業務の手法を合理化し、新しいテクノロジーを導入する必要性を把握した Sapura 社には、以下のような対応すべき重要な領域がいくつかありました。

パフォーマンスと安全性の向上

海底での石油およびガス関連作業は非常に危険な環境で行われるため、従来の掘削作業の課題に加えて、さらに複雑な課題が多数あります。深海の遠隔地で、考え得る限り最高の成果を上げ、作業員の安全性を確保するには、極めて高い精度で動作する重機が必要です。このような危険な状況を考えると、Sapura 社の最優先事項は作業員の安全であり、そのためには継続的なモニタリングと最適化が必要でした。

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需要への対応

課題に加えて、業務を拡大し、経済成長に伴う需要に対応するというプレッシャーもあります。計画外ダウンタイムはコストを急上昇させ、業務が再開可能になる前に破壊的な打撃を与える可能性があるため、設備の使用可能率はビジネスにとって非常に重要です。

膨大なデータ

Sapura 社は 1 日あたり約 9,000 万テラバイトの重要な業務データを生成しますが、通信インフラストラクチャーに制限があるため、接続が非断続的となり、リアルタイムでのセンサーデータの収集やデータベース化が困難でした。洋上船舶の状況を完全に把握できていなかったため、Sapura 社では指標を活用してワークフローから教訓を得ることが難しく、それが原因で業務上のベストプラクティスの特定が遅くなることもありました。

急激な成長

Sapura 社はわずか 4 年間で従業員 24 人から約 1,000 人の企業に成長したため、スムーズなコミュニケーションが難しくなっていました。このような急成長を遂げている組織に必要なのは適切なトレーニングであり、すべての作業員が自分の職務をこなせるようにするためのキャリア開発は常に最優先事項でした。

このような困難な状況に直面しながらも、世界経済の中でも最も競争の激しい業界の 1 つでの需要に遅れなく対応していた Sapura 社は、今後も競争を続けていくためには、デジタルトランスフォーメーションへの取り組みが唯一の手段であると考えました。業務の安全性、正確性、効率性、柔軟性を確保するために、大量の遠隔地からの業務データを簡単かつ安全に収集し、分析用にクラウドにストリーミングできる包括的なコネクティビティソリューションについて調査を始めました。

アプローチ

すでに IoT プラットフォームを導入していた Sapura 社は、幅広い設備、センサー、機械に接続し、ビジネスに不可欠な分析を可能にする業務面での可視性を備えたソリューションをいくつか比較検討しました。そして、理想的なソリューションを見つけました。それは、既存の投資やパートナーシップを補完する、PTC の最先端の産業用コネクティビティソリューション ThingWorx Kepware Server です。

150 以上の専用通信プロトコルをサポートする ThingWorx Kepware Server は、数千台ものセンサー、機器、制御システムからリアルタイムの業務データを収集し、安全にアクセスできるようユーザーを支援し、そのデータを監視アナリティクスソフトウェアアプリケーションに転送します。

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Sapura 社の選択の決め手となったのは ThingWorx Kepware Server のアドバンストプラグインでした。これによりユーザーはシームレスにデータを転送し、企業の既存のプラットフォームで直接 IoT プロセスを開始できます。これらの通信ドライバーを活用することにより、Sapura 社は遠隔地からリアルタイムの産業機械データをストリーミングし、1 つのシンプルなビューでデータをモニタリング、分析できるようになります。

ブラジルの Kepware 代理店である Exata Sistemas de Automação のサポートを受けた Sapura 社は、ThingWorx Kepware Server を 2 カ月間のパイロットプロジェクトとして試用したところ、その導入しやすさと使いやすさをすぐに実感できたため、テクノロジースタックに追加することにしました。

ソリューション

Sapura 社はリアルタイムで情報にアクセスできるようになり、業務を拡張して需要に対応すると同時に、作業員の生産性、精度、安全性を向上させました。これまで受信に数時間かかっていたデータをリアルタイムで受け取れるようになり、設備の稼働率やパフォーマンス、乗組員の効率性についてのベストプラクティスを特定するための実用的な情報として活用できます。

データのフル活用

新しいパフォーマンス指標により、Sapura 社は機器のトラブルシューティングにかかる時間を大幅に短縮し、さらに計画外ダウンタイムを大幅に削減しました。ThingWorx Kepware Server により、センサーから IoT プラットフォームに圧力、速度、温度に関する最新情報がリアルタイムで送信され、それらの情報がモニタリングダッシュボードに追加されるようになりました。このデータはベンチマーキングされ継続して追跡されるため、Sapura 社は一定期間のパフォーマンスの平均を参照し、そこから教訓を得ることができます。異常や偏差が検出された場合は、クリティカルシーケンスアラーム(高リスク~低リスクで評価)がトリガーされ、船舶に通知されます。

制御センターでは、ダッシュボードを介してオフサイトでの問題に対する乗組員の対応などの可変要素をすべて監視し、必要に応じて迅速にフィードバックを提供できます。この状況に応じたモニタリングおよびメンテナンスは、設備の信頼性を高め、遠隔地の現場が直面している大事故発生の危険性を最小限に抑えます。

より安全かつ効率的な業務

問題をより迅速に特定できるようになったことで、作業員の安全面が劇的に改善され、より効率的な機械メンテナンスが可能になりました。トラブルが発生した場合、遠隔地にいる作業員は特定の状況に効果的な手順を示した指示を受け取り、適切なデータにアクセスすることができます。また、システムが生産工程をモニタリングして業界規制へのコンプライアンスを確保し、コンプライアンスの問題が発生した場合には作業員が警告を受けます。

次のステップ

ThingWorx Kepware Server を通信ソリューションとして導入した Sapura 社は、さまざまなサイトに広がる 2,000 台以上のセンサーをつなぎ合わせました。Sapura 社の目標はすべてのサイトを統合することであり、約 8,000 台のセンサーを追加して業務の状況をリアルタイムで包括的に把握することを目指しています。Sapura 社は未来にも目を向け、このようなデータを利用して設備に対する事前対処的な分析を増やし、より高度な設備ライフサイクル管理アプローチを導入することにも関心を抱いています。これにより、自己学習型かつ自己診断型の完全なデジタルツインによる作業手順を実現できるでしょう。