Colfax 社は、2 つのビジネス プラットフォームを活用して様々な営利団体や政府機関に製品とサービスを提供する、先進的な多角的産業技術企業です。ビジネス プラットフォームの 1 つは、高精度な空気およびガスの処理装置の製造メーカーである Howden であり、もう 1 つは、溶接および切断装置と消耗品の生産者である ESAB です。

目標

100 年を超える歴史で培った 専門性を基盤とする Colfax 社は、 競争が激化する今日の市場で存在感を維持し 続けるためには、継続的にビジネスを進化させることが 重要であると認識しています。そのために、モノのインターネット (IoT) に 焦点を当てたデジタル変革の取り組みに 着手しました。

多くの企業と同様に、Colfax 社の資産の多様性と 機器の耐用年数が、 IoT に関する準備状況や 展開パターンを複雑にするといった点で課題となっていました。また、同社では、 リーンな統合管理プロセスを利用する一方で、 買収による成長を重要な戦略としているため、 事業間で自動化インフラストラクチャと IoT の手法について、大きなばらつきがあります。

Colfax 社は、デジタル テクノロジによって 既存製品の価値を高め差別化を図ること、 また新たな商機を創出することに重点を置いた、 Data Driven Advantage (DDA) という社内プログラムを開始しました。 IoT および関連テクノロジによって、 Colfax 社と Howden 事業および ESAB 事業は、 より効率的に製品の機能を向上させ、顧客と利害関係者にとっての 付加価値を創出するとともに、将来の買収によって得られる価値を 高めることができます。しかし、多様な製品ラインに デジタル技術を導入した際、変革の取り組みを妨げ、 範囲と影響の両方で制約を生む典型的な障害を 数多く経験験しました。

ソリューション

Colfax 社では、デジタル変革の 成功に必要な最初のステップは、ビジネス ニーズに対応したIoT 戦略の 確立であると考え、事業をまたいだ いくつかの試験的な取り組みを実施しました。特に、 市場に投入済みの主要製品に付加価値を提供することを目標としました。 このアプローチにより、顧客のインストール ベースや、 既存のソリューションにさらなる付加価値を提供していた 営業およびサポート チームとの接点ができました。Colfax 社は、製品やサービスの拡張と、 事業をまたいだ DDA の適用を進める中で、こうした取り組みを 促進するIoT インフラストラクチャを構築するための、 より効率的な方法を模索していました。

同社では当初、社内でテクノロジ フレームワークを構築していましたが、 すぐに、その導入と維持には運用面でも財務面でも メリットがないことを理解しました。このような 基盤を維持するには、本来はビジネスの コア業務に集中すべき従業員が、多くの時間と労力を 割かなければなりません。

Colfax 社は、部門と地域をまたいでシームレスに統合できること、 一元的なデータ共有のために業界をリードするクラウド サービスを サポートしていること、柔軟な展開オプションを提供していること、 自社の IoT プロジェクトの基盤として使えること、といった条件を満たす、 既成の IoT ソリューションを探しました。 いくつかのソリューションの調査と評価を経て、 PTC の ThingWorx 産業用イノベーション プラットフォームと Microsoft Azure IoT で構成された統合ソリューションの 検討を進めました。

Colfax 社は、IoT プロジェクトの基盤として クラウドを活用することにしました。さらには、多様な構成に 対応できることと、 産業用ソリューションに関する 深い理解と専門性により、Microsoft Azure を 選択することにしました。Azure IoT は、組み込みの接続性と デバイスのセキュリティに関する豊富な機能を備えており、 クラウド、オンプレミス、ハイブリッドのどの展開オプションでも、 非常に多くの IoT デバイス間で信頼性の高い セキュアな双方向通信を実現します。

Colfax 社は、IoT におけるリーダーでありイノベーターであると高い市場評価を得ていている ことと、製品のスケーラビリティ、幅広いポートフォリオ、 事業のグローバル展開などに着目し、PTC の ThingWorx 産業用イノベーション プラットフォームを 選択しました。ThingWorx を選ぶことで 将来性の高い運用が実現できるため、 コア ビジネスへの集中を維持したまま、 最新の IoT イノベーションとプラットフォームの機能を 容易に追加、統合できます。

ThingWorx と Azure を組み合わせることで、 接続性、迅速なアプリケーション開発、 組み込みの統合機能などで強みが活かされ、 シンプルかつ強力なソリューションが実現できます。Colfax 社と その事業部門にとって、既存のシステムにソリューションを 容易に統合でき、プロセスが合理化され、 不必要な課題やエラーを回避し、セキュリティの確保が さらに容易になる点は重要でした。Colfax 社にとって、その顧客ベースの多様性を 考慮すると、顧客側での統合も同様に容易である ことが重要でした。ThingWorx と Microsoft Azure IoT の組み合わせは、これらの要件を満たす 最適なソリューションでした。

結果

Howden と ESAB は、DDA 戦略の一部として ThingWorx を導入して以来、デジタル変革の取り組みを 迅速に進めてきました。以前は 社内開発に何年もかけていたことが、 今日ではシームレスに展開され、場合によっては 数カ月で完了します。どちらの事業部門も、 ThingWorx と Azure のフレキシビリティとスケーラビリティを 活用して、最先端の新製品を開発し提供するのみならず、既存製品の更新も行い、 強力な新機能により機能性を高め、顧客に 付加価値を提供しています。

Howden では Uptime ソリューションにおいて、 高度な仕様に基づくコンプレッサーに ThingWorx テクノロジを 組み込んでいます。これにより重要な機器データを 収集して分析でき、機器のパフォーマンスと運用効率を 顧客が最適化できるようになります。接続された機器で予測的 および処方的なアナリティクスを活用して、 運用を監視し通常の動作パターンを特定することで、 機器の故障につながる可能性がある状況を 顧客が容易に特定したり、アラートを受けたり することができます。実際に故障が発生する前に 機器の保守作業を行うことで、予期しない 非稼動時間に伴う課題とコストを削減し、 従来は推測や事後分析にのみ基づいていた全体的な メンテナンス戦略を適切に調整することができます。Howden の Uptime ソリューションを使用している 顧客はすでに、中断のない稼動時間の増加、 プロセスの効率化、コストの削減など、メンテナンス業務の 改善を経験しています。

ESAB 事業では、ThingWorx が WeldCloud や CutCloud に適用されており、さまざまな地域において 生産性、文書管理、資産管理などのの向上を 実現しています。ESAB の顧客は、 溶接や切断の機器に接続することで、より効率的に 機器の使用状況を監視し、設備の生産性を 評価することができます。ThingWorx が 備える優れた自動アナリティクス機能により、 単純なものから複雑なものまで、 任意の属性を分析し、パフォーマンスを 評価できます。ESAB でも、Howden と同様に、 個別のプロジェクトと機器のフリートの両方にわたる可視性が高まったことで、 類似する製品やアプリケーションのパターンや異常を 検出できるようになり、現場での問題に対する同社の応答率が 向上しました。また、こうした可視性の向上により、顧客による パフォーマンスの最適化を支援できるようになりました。さらなるメリットとして、 ThingWorx により自動的に収集される 豊富なデータを、規制機関に提出する文書に 容易にまとめることができるため、 文書化プロセスが合理化され、 報告する情報の質が向上しました。

Colfax 社は、ThingWorx と Microsoft Azure IoT を 製品に導入することで、製造設備データに 新たな可視性をもたらし、製品の保守とサポートを 変革しています。ThingWorx の 柔軟性により、同社製品のデジタル化を きらに拡大させ、さらなる価値を顧客に提供する ことができます。

今後

Colfax 社では、ThingWorx を活用した製品の市場投入を 続けていますが、その効果は顧客に業務に すぐさま表れました。同社の次のステップは、 ThingWorx と Microsoft Azure を自社の業務に導入し、 業務の改善を行うとともに、スマート コネクティッド プロダクツの生産から現場での使用までの ループを完結させることです。このスマート コネクティッド バリュー チェーンにより、同社の事業部門は、 品質とサービス ライフサイクルに対する 製造プロセスの影響を、より詳細に理解できるようになります。 そして、(特に消耗品事業で) より的確に需要を満たせるように なります。さらには、設計に対するフィードバックをすばやく 提供することで、市場投入までの期間を短縮し、製品の投入を 成功に導くことができるでしょう。加えて、この共通のリファレンス アーキテクチャを軸にサプライヤとのコラボレーションを 進めることで、サプライヤ自身が時間のかかる複雑な IoT 試験運用を行わなくても同様のメリットを得られるように なります。

同社は、自社の製品ライン内にて、 高度なアナリティクス機能や拡張現実などを適用することへの調査を開始する 予定です。PTC が信頼できるパートナーとしてサポートする Colfax 社の将来のスマート コネクティッドな世界に向けた 準備は万全です。

詳細